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食関連が多いSDGsのテーマ

 2019年のS&CのテーマはSDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)だった。2015年に国連で採択された2030年までに達成したい目標について、17の大分類目標とそれを細分化した169の具体的目標を定めたものである。国連ではこれまでも、新興国を対象とした開発目標が宣言としてまとめられてきた。SDGsについては、新興国だけでなく先進国を含めた全ての国が取り組むべき課題として、細かい目標を定め、各国の政府主導ではなく、民間企業も巻き込んで取り組んでいこうというメッセージを強く打ち出している。SDGsとしてアイコン化されたことで、取り組まなければならないことが見えやすくなった。

 SDGsのテーマには、食に関わるものがたくさんある。S&Cでは、30弱あったセッションのテーマのうち3分の1はSDGsが主要な議題で、SDGsを解決するために食産業がすべきことは何なのか、食を通じてSDGsをどう解決できるか、その上でテクノロジーをどう活用するか、という議論が展開された。

 注目すべきは、SDGsへの対応をいわゆるCSR(企業の社会的責任)として捉えるのではなく、事業戦略そのものの中核に据えて取り組んでいる企業が増えていることだ。コーヒー焙煎を手がけるイタリアIllycaffeは、持続可能性を追求するという調達戦略に沿って研究開発をスタートさせているほか、スタートアップ企業に対しては”What is your SDGs?”というテーマでピッチ(売り込む)することが求められた。SDGsを考えながらも、それを事業として回していくことを強調していたのが2019年のS&Cだったと言えるだろう。

17個のSDGsのゴールとそのアイコン
17個のSDGsのゴールとそのアイコン
(出所:United Nations)
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Seeds & Chips 2019の様子
Seeds & Chips 2019の様子
(撮影:シグマクシス)(以下、同)
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