いま、世界中で大流行している「AMONG US(アマングアス)」(米InnerSloth)というゲームをご存じでしょうか。2020年に最も遊ばれたゲームタイトルといわれており、20年12月には日本語化されてNintendo Switch版も登場しました。
実はこのゲーム、奇跡のサクセスストーリーを歩んでここまで来ました。発売元は米国のゲーム開発スタジオInnerSloth。スタッフロールによると開発スタッフはわずか3人。実は18年にリリースされた当時は大きな話題にならず、数あるインディーズゲームの1つにすぎませんでした。たった3人のスタジオですからもちろんプロモーションにかける費用などありません。発売されてから2年近く、さほど注目されることはなかったのです。
しかしコロナ禍に見舞われた20年、このタイトルに奇跡が起こりました。
「ゲーム実況者」をご存じでしょうか? ゲームプレーの様子をネット配信したり、プレー動画をYouTubeなどにアップロードする人たちです。ユーチューバーの代表格であるHIKAKIN(ヒカキン)さんももともとはゲーム実況がメインでした。このことから分かるようにゲーム実況者はすでにゲーム業界で大きな影響力を持っています。大勢のファンを持つ人気ゲーム実況者がプレーすると、そのゲームの売り上げに大きな影響が出るのは珍しくありません。
20年の夏。1人の有名実況者がAMONG USの実況プレーをした瞬間、奇跡は始まりました*1。その配信を見た人たちが「なんだこれ?」「見たことないゲームだ」「でも、めちゃくちゃ面白そう」と直感し、そこから口コミで全世界に人気が飛び火しました。以降、多くの有名実況者たちが取り上げるようになり、世界各国で同時多発的に人気が爆発。9月末には全ハードの合計ダウンロード回数が1億回を突破。同時接続数380万、デイリーアクティブユーザー6000万人と人気が爆発したのです*2。たった3人で作ったインディーズゲームがゲーム業界の話題の中心に躍り出ました*3。
*2 開発者本人の2020年9月29日のツイートによる。https://twitter.com/forte_bass/status/1310704642301460482
*3 米国の調査会社Apptopiaは2021年1月7日、AMONG USスマホ版の2020年の全世界ダウンロード数が累計2億6400万ダウンロードに達したと報告している。https://blog.apptopia.com/worldwide-us-download-leaders-2020