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ゲーム産業はレトロゲームを大事にすべき

「スーパーマリオワールド」
「スーパーマリオワールド」
過去タイトルがいまでもこうしてプレー可能なのは素晴らしい (c) 1990 Nintendo
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 ファミコンは6191万台、スーパーファミコンでも4910万台売れた大ヒットのゲーム機ですから発売されたタイトルは優に1000本を超えるはず。その中のたった80本強しかプレーできないのはちょっと残念な気もします。

 書籍や音楽、そして映画などの映像コンテンツなら、古いものをいまでも手にできるのにゲームではそれができていない。これはゲーム産業の最大の欠点の1つです。最近は当時のきょう体をミニサイズにして、大手の著名タイトルをたくさん詰め込んだ「ミニゲーム機」が限定販売されてヒットしたりしていますが、そういった例外を除くとレトロゲームはマネタイズしにくいこともあり、業界全体としては保存に熱心ではありません。

 デジタル技術の進化が猛烈に速いのもその要因の1つです。いま最先端のエンジニアだけが扱っている技術も、おそらくどんなに遅くとも10数年後には一般の人たちが扱えるようになります。わかりやすく言うといま数千円の価格が付いているゲームメーカーが作るゲームタイトルと同等レベルのゲームが、10数年後には安価な(あるいは無料の)個人作品や同人ゲームタイトルとして誰でも作れるようになる。理論上、それが可能ですし、既に一部でそれに近いことは始まっています。

 デジタル技術に根ざしたゲーム産業はビジネスを成立させるために、「市井のクリエイターではおいそれとは作れない」タイトルを作り続ける必要がある。そうしなければ、すぐに市井のクリエイターにキャッチアップされてしまい、市場全体がレッドオーシャンになってしまうからです。ゲーム産業は常に最先端の技術を取り入れた「すごいタイトル」を作り続けないと、安定したビジネスが成立しにくい産業構造があるのです。ベースとなっている技術が陳腐化しやすいことが、他のコンテンツ産業と比べて過去作品をないがしろにしがちな態度につながっているように思います。

レトロゲームで休眠プレーヤーを呼び戻せ

Nintendo Switchからアクセスした「ファミリーコンピュータNintendo Switch Online」
Nintendo Switchからアクセスした「ファミリーコンピュータNintendo Switch Online」
懐かしのパッケージに感涙の人も多いはず (c) 2019 Nintendo
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 そんな中でいまのゲーム機で過去の名作ゲームをプレーできるのはこのサービスは素晴らしいと思います。往年の名作映画がずらりと並ぶ動画ストリーミングサービスほどではないですし、大手メーカーの人気タイトルが主体ですが今後、少しずつゲームのラインアップは増えていくと予想されます。

 最先端のゲームは猛烈な勢いで進化しているため、ひとたびゲームから離れてしまうと、「なんか最近のゲームって複雑そうだから、手が出しにくいな」と感じる人が多いはず。でもステイホームの機運の中、またゲームに戻ってきた人ならまずレトロゲームを懐かしみつつプレーして楽しむのをわたしは強くお薦めしたいのです。