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 今回発表されたPS5は、Nintendo Switchが制圧した分野には目もくれず、逆方向へ突き進んできました。熱心なゲームファンをターゲットにして、とにかくすごいゲーム体験を提供するぞ! と進路を定めたのです。圧倒的なブランド力があり、人気シリーズを多数抱えているからこその戦略といえます。おそらく、こちらも史上最速に近いペースで普及することになるでしょう。

 つまりPS5とNintendo Switchは互いの市場を削り合うようなゲーム機ではないとわたしは見ています。ゲーム産業の発展という観点でみると互いの欠点を補完し合う共生関係にもなりそうです。共にビジネス的に成功し、ゲーム市場に並び立つ両雄となるとわたしは予想します。

影を落とすCOVID-19の今後

 とはいえ、PS5の未来を考えるうえで1つだけ不安な要素もあります。新型コロナ(COVID-19)の流行が時代の空気を大きく変えるかもしれないことです。

 テレビゲームという文化は、およそ半世紀の歴史を持っていますがその50年は全世界的な戦争・紛争がない、人類史上でもまれな「平和な時代」でした。平和な時代だったからこそ、だったら余った時間で楽しくゲームを遊ぼう! と世界中の人が考え、テレビゲームはここまで発展したのです。

 しかしいま、新型コロナにより世界で50万人を超える死者が出ています。自由な外出がはばかられる時期もしばらく続きそうです。そんな時代の空気が、ゲームビジネスにどのような影響を与えるのか、誰にもわかりません。これまでゲーム業界が得てきた経験則がまったく通用しないかもしれません。

 もちろん多くの人が自宅にいる時間が増えるからこそ、自宅でよりすごいゲーム体験を提供するPS5が一気に躍進する可能性も高い。世界の多くの国がロックダウンをしていた中、オンラインバトルロワイヤル系のゲームの多くでアクティブユーザー数が増えました。こんな機運がこれからも続くのなら、それは高度なゲームタイトルが次々に登場するPS5にとっての追い風になるでしょう。

 全世界で多くの人が自宅にいる時間が増える結果、ファミリー全体で楽しむ娯楽が隆盛になるというシナリオも考えられます。殺伐としたゲームではなく、ほんわかしたゲームが強く求められるかもしれません。

どうぶつたちとともに無人島でスローライフを楽しむ任天堂の「あつまれ どうぶつの森」
どうぶつたちとともに無人島でスローライフを楽しむ任天堂の「あつまれ どうぶつの森」
発売わずか6週間で累計1341万本を売るなど全世界で爆発的なヒット中。(c)2020 Nintendo
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 実際、Nintendo Switchのほんわかゲーム「あつまれ どうぶつの森」は大ヒットしています。そんな機運が今後も続くのであれば、熱心なゲームファンをメインターゲットとするPS5にとっては向かい風になるかもしれない。もちろん、両方のニーズが均等に盛り上がって両方ともうまくいく可能性だってあります。

 PS5は優れたゲーム機であり、人気シリーズを多数持っているので、発売されれば大ヒットとなるのはまず間違いない。ここまでは確実です。しかし、そこから数年にわたってどのように売り上げを伸ばしていくのか? は今後のゲーム業界全体がどうなるかと同じ問いになりそうです。

野安 ゆきお(のやす・ゆきお)
ゲームジャーナリスト
 野安 ゆきお(のやす・ゆきお)  1968年生まれ。ファミコン時代からゲーム雑誌編集部に所属し、ゲームジャーナリストとして活動。1000本以上の家庭用ゲームを仕事としてプレーし、100冊以上のゲーム攻略本の制作に参加。その後、編集プロダクション勤務を経て、現在はフリーで活動中。ご連絡はTwitterアカウント @noyasuyukioへどうぞ。