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あつ森の季節限定の花火大会の様子
あつ森の季節限定の花火大会の様子
季節に応じたイベントが追加されていくところもロングランヒットの理由。 (c)2020 Nintendo
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あつ森が爆発的に売れたのには理由がある

 しかしながらなぜあつ森は、ここまでの超ヒット作になったのでしょう?

 新型コロナの影響で巣ごもり需要が喚起され、「無人島でのんびり過ごすというゲーム内容」が全世界の人たちに愛されたのだ、と解説されることが多いようです。確かにそれも間違いではありませんが、完全な正解でもありません。実はもっとはっきりした理由があります。あつ森には「初めてゲームに触れるユーザー」を明確に意識した設計が隠されているのです。

 具体的にはこのゲーム、2つの操作を同時に要求しないように作ってあります。例えば「走りながら道具を使用する」といった操作を決してプレーヤーに要求しません。

 「だからなに?」と思われるかもしれません。しかしこうした操作設計は、通常のゲームではあり得ない「非常識な」設計なのです。

アクションゲームの古典的名作「スーパーマリオブラザーズ」
アクションゲームの古典的名作「スーパーマリオブラザーズ」
ダッシュしながらジャンプする、という2つの操作を同時に要求してくるからこそ、このゲームは面白い。 (c)1985 Nintendo
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 他のゲームを思い浮かべてください。世の中の99%のゲームは2つ以上の操作を同時に要求するように作られています。例えば「スーパーマリオブラザーズ」はダッシュするために、左手でスティックを倒しながら、右手でダッシュボタンを押すという操作を要求します。さらに「その状態からジャンプする」というアクションも要求してきます。

マリオの最新作「スーパーマリオオデッセイ」
マリオの最新作「スーパーマリオオデッセイ」
3Dで描かれた世界を走りながらジャンプする、というアクションは引き継がれている。 (c)2017 Nintendo
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