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 透過ディスプレーを使うヘッドマウントディスプレー(HMD)で、現実の光景とコンピューター映像を視界に混在させるMR(複合現実:Mixed Reality)。MRHMDの1つである米Magic Leap (マジックリープ)の「Magic Leap 1」を使った体験型のエンターテインメントを試してきた。まだ開発中で体験できたのはほんのプロローグだけだが、それでもMRの大きな可能性を感じた。

魔法キターーーーー!
魔法キターーーーー!
(イラスト:闇雲)
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MRだから体感できる「魔法が使える世界」

 Webサイトやアプリの制作、デジタルエンターテインメント施設のプランニングや開発を請け負うカクシン(東京・港)は、MRを活用したアトラクションを開発している。タイトルは「code name:WIZARD」。緻密に設定された世界観を持ち、「魔法が使える世界」を体験できるファンタジーコンテンツである。

 現在、東京・南青山にある同社の本社社屋内に特設スペースをつくり、code name:WIZARDの体験会を実施している。事前にクラウドファンディングで募った応募者が対象で、まずは9月末まで実施する予定だ。

「code name:WIZARD」のイメージ画像
「code name:WIZARD」のイメージ画像
(出所:カクシン)
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 「もし現実世界で魔法が使えたら?」

 code name:WIZARDはそんなテーマのもと、MRを使って魔法が使える幻想的な体験を提供するエンタメコンテンツとして開発が進められている。

 本作の背景となる物語の舞台は「異界への穴」を通じて結ばれている「人間世界」と「魔法世界」という2つの世界。魔法世界から来た妖精である“ティッキー”と契約を結ぶと、参加者たちは人間界でも魔法を使えるようになる。これを実現するのがMRというわけだ

* 今回は国内ではNTTドコモが販売を手掛けるMagic Leap 1を使うMRコンテンツとして制作されているが、今後のエピソードではVR(Virtual Reality:仮想現実)やAR(Augmented Reality:拡張現実)の技術を使う構想もあるという。
開発スタッフらへの取材風景
開発スタッフらへの取材風景
右からエグゼクティブプロデューサーの徳原大和氏、PRマネージャーの佐藤有紀氏、コンテンツ開発担当の佐々木淳一氏。取材場所はカクシン本社社屋の3階、来客などとの打ち合わせを行うフロアで、写真中央奥の衝立のさらに奥に体験会場がつくられていた(写真:稲垣宗彦)
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 今回体験できたのは「エピソード・ゼロ」。タイトル通り、全9話で完結を迎える予定の物語のさらに序章と言える内容で、参加者が魔法を使うのに大きな役割を果たす6匹の“ティッキー”を部屋から探し出し、契約を結ぶのがミッションだ。

南青山にあるカクシン本社社屋
南青山にあるカクシン本社社屋
この3階にある休憩スペースのような一角に「code name:WIZARD」の体験会場がつくられていた(写真:稲垣宗彦)
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MRを実現するウエアラブルデバイスMagic Leap 1

 このコンテンツで重要な役割を果たすMagic Leap 1は、片目あたり1.3Mピクセルの透過型液晶モニターを装備したHMD「LIGHTWEAR」と、8GBのメモリーと128GBストレージ、3つのコアプロセッサを搭載した本体「LIGHTPACK」という2つのパーツで構成されるウエアラブルデバイスだ。

NTTドコモが販売する「Magic Leap 1」
NTTドコモが販売する「Magic Leap 1」
丸い「LIGHTPACK」と「LIGHTWEAR」はコードでつながれている。「code name:WIZARD ~エピソード ゼロ~」では使わなかったが、専用のワイヤレスコントローラー「Magic Leap 1 Control」も標準で付属する。価格は税込み27万3900円(出所:NTTドコモ)
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 米Oculus VR(オキュラス)の「Oculus Go」のようなVRHMDと違うのは、ヘッドセットの液晶モニターに投影される映像と目の前の光景も同時に見える点。CGで描かれる物体やエフェクトといった仮想的なオブジェクトが、まるで目の前に実在するかのように、現実の風景とクロスオーバーして投影される。単にそれだけでは現実の空間に情報を重ね合わせて表現するAR(Augmented Reality:拡張現実)との差がないが、code name:WIZARDではそこにインタラクティブな要素を加えている。