製造業のイノベーションの源泉は「ものづくり」を担う工場にある。戦略的に大きな投資を行う新工場では、最先端の技術はもちろん、横展開を狙うさまざまな新しい試みが投入され、その企業の「ものづくり」への考えが如実に表れる。

IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)、ロボットなど、新しいデジタル技術の波は工場の現場も大きく変えつつある。最新技術を投入し、次世代の生産革新を進める世界の最新工場の取り組みをリポート、製造業のイノベーションの実体を探る。
製造業のイノベーションの源泉は「ものづくり」を担う工場にある。戦略的に大きな投資を行う新工場では、最先端の技術はもちろん、横展開を狙うさまざまな新しい試みが投入され、その企業の「ものづくり」への考えが如実に表れる。
IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)、ロボットなど、新しいデジタル技術の波は工場の現場も大きく変えつつある。最新技術を投入し、次世代の生産革新を進める世界の最新工場の取り組みをリポート、製造業のイノベーションの実体を探る。
自動化やAI活用でグローバル生産拠点の中核へ
アズビルが、グローバル生産体制の強化に向けて湘南工場内(神奈川県・寒川町)において自動化や人工知能(AI)の活用に力を入れている。その1つが差圧発信器「AT9000」のセンサー部のはんだ付け工程におけるAIを活用した良否判定だ。
部品供給台の入れ替えで作業を切り替えらくらく
OKIのメカトロシステム事業本部が、多品種少量生産における自動化を進めるべく、協働ロボットの活用を進めている。同事業本部は、ATM端末や発券端末、チェックイン端末などの開発・製造を手掛けている。主力工場のメカトロシステム工場(富岡工場、群馬県富岡市)において、2017年度から導入を始め、現在6台ほ…
UMCエレクトロニクス 中国・東莞工場(後編)
UMCエレクトロニクス東莞工場は作業者の適性を見極めて適切に配置し、育成していく取り組みを進めている。専門の施設「教育センター」を設け、新しく加わった作業者の適性を検査し、実際の工場ラインを模した設備で訓練を施し、合格者をラインへ送り出す。
UMCエレクトロニクス 中国・東莞工場(前編)
イグス ドイツ本社工場
樹脂製の可動式ケーブル保護管や歯車などの製造を得意とする機械部品メーカーの独イグス。ケルン市の本社敷地内には、工場や研究開発施設も併設されている。特徴は「自由」かつ「開放的」で「拡張性」が高い点にある。鉄塔が主構造となって屋根と壁を吊っているので建屋内の柱と壁を最小限に抑えられ、見通し…
コニカミノルタビジネステクノロジーズマレーシア
コニカミノルタは、次世代工場のコンセプト「デジタルマニュファクチャリング(DM)」を掲げ、「自動化」と「IoT化」を推し進めている。目指すのは、「人・場所・国・変動に依存しないものづくり」(コニカミノルタ執行役生産本部長の竹本充生氏)。その取り組みの先頭を走るのが複合機(MFP)の主力機種などを生…
「中国の人件費上昇を上回る生産性向上を念頭に改善を進めている」――。オムロン上海董事・総経理の西山正人氏はこう語る。上海市郊外にある同社の工場は、リレーやセンサー、PLC、温度調節器などを生産するオムロンのインダストリアルオートメーション事業(IAB:制御機器事業)の中核工場。生産品目数は2万20…
中外製薬は生産子会社である中外製薬工業の宇都宮工場を報道機関向けに公開した。宇都宮工場は、遺伝子組み換えや細胞培養といったバイオテクノロジー(生物学的技術)を活用して作る「バイオ医薬品」の主力工場の1つ。
設備リニューアルと併せて従業員教育を徹底
三菱ふそうトラック・バスの川崎工場は2017年から、スマート工場化の取り組み「ファクトリー・オブ・ザ・フューチャー」を進めている。IoTを活用した情報の一元化・見える化やロボットによる自動化などを推進。従業員からの意見やアイデアを反映し、全員参加型で工場を改革。生産効率の向上を目指す。
旭化成メディカルMTのプラノバ工場は、ウイルス除去フィルター「プラノバ」の品質向上を目的に、人工知能(AI)によるデータ分析に取り組んでいると明らかにした。プラノバは、例えば20nm程度の大きさのウイルスを透過させず、15nm程度のたんぱく質を透過させる繊維(中空糸膜)を利用したフィルター装置。生…
自動車の電装部品などで使われる薄膜コイル(インダクター)部品を製造するTDK鶴岡東工場(山形県鶴岡市)。もともとはルネサスエレクトロニクスがアナログICなどを製造していた工場で、2016年にTDKが約270人の従業員込みで買収、2017年から稼働を始めた。現在は約150人が働く。
産業用ロボットや自動化セル、自動倉庫などによる徹底した自動化と、IoT(Internet of Things)による設備監視などを駆使して、ラインの直接作業者を従来の1/3にまで減らし、生産能力1.5倍・1人当たり生産高4倍を実現した工場がある。タレットパンチプレス用のパンチング金型を生産するアマ…
パナソニック コネクティッドソリューションズ社の神戸工場が、協働ロボットや画像認識技術を活用したスマート工場化を進めている。同工場は、ノートパソコン「レッツノート」や「タフブック」などを生産するマザー工場。「一品一様」「人の経験に頼らない高品質」「トレーサビリティ+予兆管理の進化」「納期短縮」の4…
工場自動化のソリューション型ビジネスを目指す
「ロボット組み立ての自動化率を約8割にまで拡大した。今後はこうした自動化を主力機種以外にも水平展開する。将来は検査など組み立て以外の自動化も進めたい」。ダイヘン常務執行役員FAロボット事業部長の金子健太郎氏は、同社六甲事業所におけるロボットの生産自動化の取り組みについてこう語る。
AIでロボットの故障を予知して保全に生かす
安川電機のスマート工場「安川ソリューションファクトリ」は、生産効率を従来比で3倍に高めた次世代の拠点だ。IoTやAI、産業用ロボット、自律走行するAGV(自動搬送機)など、最新のテクノロジーが満載である。
OKI本庄工場、ハイエンドの顧客ニーズに先手を打ちAIの応用も視野に
OKI EMS事業本部はOKI本庄工場において、600mm角の大型基板に0402サイズの部品を実装可能な新ラインを2019年2月に稼働させた。最大で610×600mm、質量10kgまでの大型多層基板を生産できる。「ここまでの大きさの基板を生産できるラインは他にはないと認識している」という。
燃料電池を生産するパナソニックの草津工場
パナソニックのアプライアンス(AP)社は、家庭用燃料電池コジェネレーションシステム「エネファーム」の燃料電池を生産する草津工場の生産ラインを2019年2月22日に報道陣に公開した。エネファームの燃料電池を生産しているのは同工場のC17棟。1階で燃料電池スタックの、3階で燃料処理機および本体の組み立…