「最大で年間15兆円」。これは世界的なシンクタンクである米ランド研究所が調べた、睡眠不足による日本の経済損失額だ。睡眠の不調が健康や精神状態をはじめさまざまな悪影響を与えることは“常識”だが、働き方改革や健康経営を進める企業が今注目しているのが生産性の低下だ。社員の睡眠を見える化して改善提案するアプリなどのソリューションを導入する企業が増えている。この背景にあるのが、ウエアラブル端末やクラウドの普及に伴う睡眠データ、そしてエビデンスの劇的な増加だ。睡眠のビッグデータ化は、それを活用した製品やソリューションの開発も活発化させている。「眠いけどどうしたらいいか分からない」は今は昔。個々人の睡眠状況に合わせた適切な対策が示される未来が近づいている。データを起点とした睡眠対策、いわゆる「スリープテック」の最前線を追う。