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睡眠十分なはずでも日中の活動に支障

 一方、睡眠と各指数の関係については、明確に表れた部分と表れない部分があった。例えば、平均睡眠時間と健康指数については関連性が見られたが、「いきいき活力指数」との関連性は低いという結果になった。

睡眠時間が少ない人は健康指数が低い
睡眠時間が少ない人は健康指数が低い
平均睡眠時間が少ないほど健康指数が低くなる傾向がうかがえる。ただし、5時間半以上6時間半未満のグループと6時間半以上のグループではほぼ同じ(図:三菱ケミカルホールディングス)
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 平均睡眠時間とそれによる日中の活動への支障の有無を調べたところ、予想外の結果が出た。6時間半以上のいわゆる長時間睡眠者でも「日中の活動に支障がある」と回答した人が約1割を占めていた。これは4時間半未満の短時間睡眠者で同じ回答した人の割合とあまり差がない。

睡眠時間6時間半以上でも日中の活動に支障がある人は約1割
睡眠時間6時間半以上でも日中の活動に支障がある人は約1割
睡眠によって疲れや眠気が解消されるかどうか、日中の活動への支障はどうなるのかを尋ねた。平均睡眠時間が多いほど「疲れや眠気が解消され、日中の活動への支障はない」と回答する人の割合が高まるが、平均睡眠時間に関わらず「疲れや眠気が残っており、日中の活動に支障がある」という人が約1割存在している(図:三菱ケミカルホールディングス)
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 こうした結果が出た要因は複数考えられる。まずは、睡眠時間と同様に重要な「睡眠の質」を評価の対象にしていないことだ。Fitbit Alta HRなどFitbitの機器では、体の動き(装着した腕の動き)と心拍数から睡眠の状態を予測する。判定される睡眠の深さは4段階。「覚醒状態(就寝から起床までの間の中途覚醒)」と、体は休んでいるものの脳は活動している「レム睡眠」、脳自体が休むノンレム睡眠を「浅い睡眠」と「深い睡眠」として、推移や各段階の合計時間を記録している。「睡眠時間」としては覚醒時間を除いたいわば“実睡眠時間”が表示される。

 三菱ケミカルホールディングスによれば、覚醒時間の平均は約50分であり、それを除いた実睡眠時間「6時間半」は、就寝から起床までの時間を指す睡眠時間でいう約7時間半に相当する。この数字自体は一般には十分とされるレベルだが、深い睡眠の時間を十分に確保できていなければ疲労は回復しにくい。

 また、一晩のうちに睡眠が深くなったり浅くなったりするサイクルを経る中で、前半に深い睡眠が多く現れ、徐々に浅い睡眠が多くなって起床に至る場合が“良質の睡眠”とされ、逆に起床前に深い眠りが多い場合には眠気を感じたり起床が難しくなったりする。こうした睡眠の質が評価に反映されていない分、いきいき活動指数や日中の活動への支障との関連性が低く見えた可能性もある。

 もちろん、同社では短時間睡眠が仕事に支障を与えていないと結論づけているわけではない。調査では「平均安静時心拍数」が高い人ほど平均の睡眠時間が短い傾向が見られた。平均安静時心拍数は、横になったり座ったりという安静時(睡眠時は除く)の平均心拍数のことで、ストレスや疲労などの影響で高くなる。実際、同社の調査では平均安静時心拍数が高いグループほど健康指数や主観的健康観の値が低く、ストレスを感じている人が多い傾向が見られた。

平均安静時心拍数が高い人ほど短時間睡眠の傾向
平均安静時心拍数が高い人ほど短時間睡眠の傾向
平均安静時心拍数と平均睡眠時間の関連を調べた。心拍数が高いグループほど、睡眠時間が短い人が多い(図:三菱ケミカルホールディングス)
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平均安静時心拍数が高いと健康に懸念
平均安静時心拍数が高いと健康に懸念
平均安静時心拍数が高いグループほど、主観的に健康状態がよくないと感じている人の割合が高い。また、ストレスを感じる人の割合も高くなる(図:三菱ケミカルホールディングス)
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 仕事にやりがいを持って働いている人は、たとえ睡眠時間が短く疲れていても仕事を頑張れてしまう傾向にある。しかし、睡眠不足は健康を阻害する要因になり得る。同社では平均安静時心拍数は重視すべき項目であるとして、従業員に自己モニタリングを推奨している。将来的には人を介さずにアドバイスするといったサービスの実現を見据えているという。