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データ統合に向け独自システムを開発

 同社が睡眠や心拍数の計測に向けた小型活動量計を導入した背景には、2016年の健康経営推進宣言がある。従業員の活力を向上させることで組織の活性度を高め、企業としての創造性・競争力を向上させようという流れに乗るものだ。

 その“本気度”はかなり高い。当時は同社の眼鏡にかなう企業向けの健康サポートシステムがなかったため、独自のシステム「i2 Healthcare(ICT-based integrated Healthcare)」を開発した。歩数、睡眠状況、心拍数といった端末からのデータに加えて、健康診断、働き方への意識や健康経営に対する各自の取り組み状況の調査といったデータを統合し、評価・管理することを可能にした。

健康経営の実践に向け独自システムを開発
健康経営の実践に向け独自システムを開発
健康経営の実践に向け、サポートシステム「i2 Healthcare」を独自に開発した(図:三菱ケミカルホールディングス)
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 閲覧権限も細かく設定できるようにした。例えば、産業医であれば各従業員の健康診断結果や活動量のデータを閲覧できるが、プライバシーに配慮し、活動の時間帯は閲覧できない。また睡眠については、本人以外は個人ごとのデータを閲覧できないといった具合だ。

i<sup>2</sup> Healthcareの従業員向けマイページの例
i2 Healthcareの従業員向けマイページの例
利用率を高めるべく、見やすく利用しやすいシステム作りを目指した。各グループ会社で健康診断データや働き方データ、組織情報など多様なデータを反映できることに加えて、セキュリティーの確保、閲覧権限の設定や同意取得などのプライバシーにも配慮した(図:三菱ケミカルホールディングス)
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 当初の試用(トライアル)では、Fitbitではない小型の活動量計300台を利用した。睡眠データの計測について「見たことがないので面白い」と好評だったものの、心拍数計測機能がなく睡眠と覚醒の2段階しか見ることができなかった。そこで、心拍数計測機能によってより細かい睡眠状態を把握することができ、APIを使ったデータ連携もしやすいなどの理由でFitbitを採用したという。

 今回の睡眠時間に関する調査によって、睡眠の評価は一筋縄ではいかないことが明らかになった。睡眠は個人差が大きいうえに、そのデータは個人情報でもあるので、企業として詳細なデータを集めたり個々に対応したりすることは難しい。

 三菱ケミカルホールディングスでは今後の取り組みとして、まずは睡眠に関する社員の知識レベルの向上に力を入れる。ベンチャー企業のニューロスペースが提供する企業向けの睡眠改善プログラムや、パナソニックの睡眠改善ソリューションといった、セミナーやeラーニング教材を活用する。ウエアラブル端末やシステムを生かし、個々人に自分の状態を把握してもらい、セミナーなどで得た知識を試すことで生活習慣の改善・定着を試みるという。