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下流側から見た新阿蘇大橋。2021年3月7日に開通した。同年4月19日に撮影(写真:イクマ サトシ)
下流側から見た新阿蘇大橋。2021年3月7日に開通した。同年4月19日に撮影(写真:イクマ サトシ)
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 震度7の前震と本震で熊本県を震撼(しんかん)させた熊本地震から5年。阿蘇大橋の崩落や斜面崩壊のあった同県南阿蘇村では復旧・復興が進み、新しい阿蘇大橋(以下、新阿蘇大橋)は着工からわずか4年の2021年3月に開通しました。

 新阿蘇大橋の渡河部の橋長は345m。深い谷底に3つの橋脚を建てる必要がありました。当初設計では斜面上に仮設する「段差桟橋」の上で、クレーンを用いた掘削土砂の搬出や資機材の運搬を想定していました。

当初の段差桟橋のイメージ。渓谷が深いため、急斜面の上下に桟橋を設置する想定だった(資料:大成建設)
当初の段差桟橋のイメージ。渓谷が深いため、急斜面の上下に桟橋を設置する想定だった(資料:大成建設)
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 ところが、架橋地点は阿蘇外輪山の切れ目に位置するため、年間を通じて強風が吹き込みます。「クレーン等安全規則」によると、10分間の平均風速が毎秒10m以上でクレーン作業を中止しなければなりません。この規則に基づき、実際の現場では安全側に運用して平均風速が毎秒7mで規制をかけるのが一般的です。

 この現場では1週間に3日ぐらいの頻度で、毎秒7m級の風が吹いていました。深礎工で発生する土砂や資機材を安定して運搬するために、どのような方法を採用したのでしょうか。

  1. 森林工事などで用いる工事用モノレールを設置した
  2. 斜面のレール上を台車が昇降するインクラインを設置した
  3. クレーンの周囲に風よけとなる壁を設置した