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「最高の顧客体験とは!?」をテーマに、日本を代表するCIO(最高情報責任者)やCDO(最高デジタル責任者)、有識者など約40人が議論した。日経 xTECHが2019年3月1日に開催した「ITイノベーターズ会議」で飛び出した発言のポイントを紹介する。

 顧客体験(CX)の向上はBtoC企業だけでなく、BtoB企業も避けて通れないテーマである。一般にはマーケティング部門や営業部門が主導して進めるものと認識されていることが多い。

 だからといって、IT部門やデジタル化の専任組織は無関心でいいのか。会合では「そうではない」「IT部門にしかできない役割がある」といった積極的な意見が相次いだ。

システムがなければ、顧客体験はつくれない

――アクサ生命保険 執行役員 ITデリバリー本部長 玉置 肇 氏

 アクサ生命保険はCXの向上に熱心な企業の1つだ。給付金の請求手続きをしたり、新規に保険を契約したりした顧客にアンケートを取り、担当者の対応を5段階で評価してもらう。

 顧客からの評価点数とコメントは原則として、Webサイトで公開している。「お客様からの全てのコメントを開示したのは、恐らく日本の保険会社では当社が最初だろう」。アクサ生命保険の玉置肇執行役員ITデリバリー本部長は、そう話す。

アクサ生命保険の玉置肇執行役員ITデリバリー本部長
アクサ生命保険の玉置肇執行役員ITデリバリー本部長
(撮影:井上 裕康、以下同じ)

 顧客からの評価は、同社の業績ボーナスにおける算定指標の1つになっている。社内の営業部門やマーケティング部門、コールセンターの運営部門など各部門がそれぞれ、CXを高めるチャレンジを進めている。

 全社を挙げてCX向上を目指す中、アクサ生命保険の玉置執行役員はIT部門の重要性を強調する。玉置執行役員が主張するIT部門が担うべき役割とは「全社のCXへの取り組みを俯瞰(ふかん)して見て、システムで横串を刺すことだ」(玉置氏)。

 「CX向上の責任を負う役員を置いている企業があるかもしれないが、私は効果が少ないと思っている。担当役員がいても、全社の取り組みに横串を刺せるような武器がないと機能しないからだ」

 その点、IT部門には「システムという特有の武器がある。全ての部門に横串を刺せる」と玉置執行役員は訴える。最高の顧客体験の裏側にあるシステムの構築を通じて、CXを向上させるというわけだ。

 玉置執行役員は数年がかりで、IT部門の組織再編を断行。事業部門との関係性を強化してきた。こうして築いた信頼関係の上にシステムという武器を乗せて、各部門が推進するCX向上の取り組みにどんどん関与し、支援していく。