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中村大介
中村大介
高収益化支援家、弁理士

 B to B(企業間取引)メーカーX社の会議室で、A社長と私が話をしていました。

 「以前よりも良い情報が入るようになりました」。A社長はこう話し始め、X社の状況を私に説明してくれました。「技術カタログについて最初は懐疑的だったのですが、営業にやらせてみると『以前とは違う報告書が上がって来ます』と営業部長から報告がありました。私も日報を見てみましたが、以前あったような商談の進捗だけじゃなくて、確かにお客様の課題も書いてあるんですよ。それで、開発会議で開発部門にもフィードバックがかかるようになったようです」。

 「イノベーションのサイクルが回り始めたということですか?」と私が聞くと、「そうですね。まあそこまで美しいものじゃないと思いますが」と言って、A社長は笑っていました。謙遜しているようでしたが、その表情はどことなく自信が感じられるものでした。

 なぜ私がそう感じたかというと、一般に経営者はこうした会社内の情報の生成・流通にはかなり配慮します。A社長もそうです。営業部長の「以前とは違う報告書が上がってくる』という言葉は、有益な情報が会社内で生成されるという意味です。会社として取り組んで意味があることは何か、示唆を与えてくれる情報があるという意味です。

 また、「開発会議で開発部門にもフィードバックがかかるようになった」というのは、会社として情報の流通ができているという意味に他なりません。開発の人的・金銭的資源を投入して取り組む価値がありそうな情報を入手し、それに取り組んでいるのですから良いことでしょう。

 私が関与する以前にも、X社では営業日報は業務になっていましたし、営業部門と開発部門との間の会議も行われていました。会社としてやるべきことはやっていたと言えそうです。

 それでも、「以前よりも良い情報が入るようになった」と言う社長は、明らかに手応えをつかんでいるようでした。ビフォーとアフターで何が違うかは、本当に小さな差なのですが、この微差に気付けるかどうかが極めて重要なことなのです。そこで、今回はそのことを話したいと思います。