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日本の品質関連の取り組みを支えてきた日本科学技術連盟(以下、日科技連)が毎年6月と12月に開催する「品質管理シンポジウム」。第102回(2016年6月開催)では、ソニーの元幹部、米Google社日本法人の元社長でもある辻野晃一郎氏が登壇した。講演に先立つ事前インタビューで同氏は、Googleでの経験を基に日本の製造業の課題について指摘した。(聞き手は山崎良兵、中山 力)

辻野 晃一郎氏
辻野 晃一郎氏
つじの・こういちろう:アレックス代表取締役社長兼最高経営責任者(CEO) 1957年福岡県生まれ。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了し、ソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタル TV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社し、アレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長兼CEOを務める。また、2012年4月より早稲田大学商学学術院客員教授。(写真:栗原克己)

辻野さんはソニーで「VAIO」のパソコン開発を担当し、複数のカンパニーのプレジデントも務めた後、米Google社の日本法人の社長を経て、アレックスを起業されました。こうした経験の中で何を学んできたのでしょうか。

辻野氏 ソニーは日本を代表する超優良グローバル企業でした。何がすごかったのかというと、戦後、日本が敗戦国で焼け野原になった中から立ち上がった2人の日本人がたった1世代でソニーを世界企業にまで成長させたことです。ソニーは日本発で世界に羽ばたく最初のメガベンチャーでした。

 そのすさまじいエネルギー源は、国がなくなるくらいの敗戦国家となった日本を復興させて世界の信頼を取り戻す、という創業者の強い思いにあったような気がします。1962年、創業者の1人の盛田昭夫さんはニューヨークの5番街にソニーのショールームをオープンさせました。その際に星条旗と並べて、日の丸を掲げたエピソードは有名です。

 「日本人の誇りと自信を取り戻そう」という思いを持つスケールの大きい人物で、私利私欲を超えた経済人でした。盛田さんともう1人の創業者である井深大さんは私の憧れで、就職する時はソニーしか考えませんでした。

 ソニーで22年間働いて、本当に楽しく仕事をしました。退社する前には、役員の一歩手前のカンパニープレジデントを務めました。私自身にとってソニーで働くことは生きがいそのものであり、日本初の世界企業であるソニーの看板はものすごく大事なものでした。