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 新型コロナウイルスが日常生活を脅かしている。生命の危機に関わるこの非常時、情報セキュリティーなど二の次と考えている人は多いだろう。

 だが非常時だからこそ、いつも以上に注意する必要がある。サイバー攻撃者はユーザーの注意がおろそかになる非常時を狙うからだ。実際、過去に大きな災害が発生した際には、それに便乗する詐欺やサイバー攻撃が必ず出回った。

 今回も既に出回っている。卑劣な攻撃者にだまされないために手口を知って備えよう。

 加えて、テレワーク(リモート勤務)に伴う情報漏洩にも注意が必要だ。新型コロナウイルス対策として、急きょテレワークを導入したり、テレワークの対象者を増やしたりした企業・組織は少なくないだろう。

 テレワークを実施する社員自身が注意するのはもちろんのこと、企業や組織の担当者は社員に対して呼びかける必要がある。

マスクの品不足を狙う

 新型コロナウイルスに関連して多くの人を悩ませているのがマスク不足だ。「感染対策としてマスクは不可欠」と言われているにもかかわらず、品薄状態が続いている。

 マスクを欲しがっている人は多い。そのためそれにつけ込んだフィッシング詐欺が出現している。例えば国民生活センターや日本サイバー犯罪対策センター(JC3)は、フィッシング詐欺目的と思われるSMSメッセージを確認して注意を呼びかけている。

新型コロナウイルスに関連したフィッシング詐欺の例
新型コロナウイルスに関連したフィッシング詐欺の例
(出所:日本サイバー犯罪対策センター)

 メッセージには、「新型コロナウイルスによる肺炎が広がっている問題で、マスクを無料送付確認をお願いします」という一文とURLが記載されている。このURLをクリックすると、運送系企業をかたったフィッシングサイトに誘導されるという。

 高機能マスクを宣伝するスパム(迷惑メール)も世界規模で出回っている。ロシアのカスペルスキー(Kaspersky)は、「新型コロナウイルスの感染予防に効果がある」としてマスクを宣伝する英文のスパムを紹介。料金を払っても商品が届かない、あるいは届いたとしても広告通りの品質が保証されない可能性が高いとして注意を呼びかけている。

マスクを宣伝するスパムの例
マスクを宣伝するスパムの例
(出所:カスペルスキー)
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スパムが宣伝する商品の販売ページの例
スパムが宣伝する商品の販売ページの例
(出所:カスペルスキー)
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 いつもなら英文のスパムなど相手にしない人でも、「Coronavirus」や「Mask」といった単語に反応してお金を払ってしまう恐れがある。カスペルスキーが警告しているように商品が届かない可能性は極めて高い。冷静になってほしい。

 また、SNSなどでは日本語のスパムも報告されている。「マスクの注文を承ったのでしばらく待ってほしい」といった内容だ。金銭や個人情報を詐取することが目的だと思われる。相手にしてはいけない。

 ちなみに、マスクや消毒液の供給状況は経済産業省が公式サイトで情報を発信している。3月3日時点の情報では、いっとき店頭から姿を消したトイレットペーパーやティッシュペーパーは不足していないとのこと。こういった情報を参考にして慌てないことが重要だ。