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 「セクストーション」という言葉をご存じだろうか。セックスとエクストーション(脅迫)を合わせた造語で、性的脅迫などと訳されるサイバー犯罪である。

 性的な話題に人は弱く、脅迫の材料にはうってつけだ。このためネットにはセクストーションの新手口が次々と現れ、多くの人を地獄に落としている。

 2020年6月にも新たな手口が報告された。不倫相手をネットで探すようなよこしまなユーザーがターゲットだ。今のところ海外だけの事例だが、巧妙な手口は必ず日本語版が出現する。対岸の火事ではない。

恥ずかしい姿を撮影したと脅す

 セクストーションの常とう手段の1つが、「恥ずかしい写真」で脅す手口だ。ネットで知り合った相手から言葉巧みに恥ずかしい写真や動画を手に入れて、ばらまかれたくなければ金銭を支払うよう脅迫する。

 大阪府警察の情報によれば、不正なアプリをインストールさせて電話帳データを抜き取ることもあるという。

セクストーションの典型的な手口
セクストーションの典型的な手口
(出所:大阪府警察)
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 ここ2~3年で猛威を振るっているセクストーションは、「アダルトサイトを見ているあなたの姿を撮影した。その動画を知人に送られたくなければ、指定額の暗号資産(仮想通貨)を送れ」とメールで脅す手口だ。

 攻撃者はアダルトサイトにウイルス(マルウエア)を仕掛けたと主張。そのサイトにアクセスしたユーザー(脅迫メールの受信者)のパソコンにウイルスを感染させて乗っ取ったとしている。

 そしてパソコンに内蔵されたカメラを使って、アダルトサイトを見ているユーザーの姿を録画したというのだ。

 さらに、指定額を期日までに支払わないと、パソコンから盗んだ連絡先にその動画を送ると記載されている。

 一見、荒唐無稽にも思えるこのような脅迫を信用させるために、攻撃者はこの脅迫メールの冒頭に、ユーザーが使っている、あるいは以前使っていたメールアドレスとパスワードを記載する。これがポイントだ。

 これにより、脅迫メールの送信者をすご腕のハッカー(クラッカー)だと思わせて、パソコンの乗っ取りや連絡先情報の窃取が可能だと思わせようとする。