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 国民生活センターは2020年7月中旬、「当選金を受け取ることができる」などとうたって誘導し、多額のサービス利用料金や手続き費用などを請求する「利益誘引型のサイト」に関する相談が相次いでいるとして注意を呼びかけた。

 セキュリティー企業のトレンドマイクロも2020年7月下旬、同様の注意喚起を公表している。国民生活センターやトレンドマイクロの注意喚起を読んで驚いた。10年前と手口が全く変わっていないのだ。それにもかかわらず、だまされる人が後を絶たない。なんという悲劇だろうか。

出会い系サイト風サイトが舞台

 国民生活センターが「利益誘引型のサイト」としているサイトは、有料の出会い系サイトの体裁を取っていることがほとんどだ。このためトレンドマイクロは「出会い系詐欺サイト」としている。筆者も10年ほど前からこの手口の詐欺を「出会い系詐欺」として注意を呼びかけている。

 有料の出会い系サイトの中には、メッセージを送受信するたびにお金がかかるポイント制のサイトがある。

有料の出会い系サイトのイメージ
有料の出会い系サイトのイメージ
(作製:日経クロステック)
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 サイト利用者は、出会い系サイトからのメールなどで別の利用者を紹介される。連絡を取りたいと思った場合には、自分のために用意されているWebページにメッセージを書き込む。

 すると相手には、サイトから通知メールが送られる。メールに書かれたリンクをクリックすると専用のWebページに誘導され、書き込んだメッセージが表示される。これを繰り返すことで、希望の相手とメッセージをやりとりする。

 つまり、やりとりの全てを出会い系サイトが仲介することになる。

 メッセージの送受信や相手のプロフィル閲覧などには、1回ごとに有料のポイントが必要となる。ポイントは銀行振込やクレジットカード決済、電子マネー決済などで購入する。