犯罪の巣窟だといわれている「ダークウェブ」。通常の方法ではアクセスできず、通信経路を秘匿する通信技術を使うなどしないとたどり着けないWebサイトを指す。
ダークウェブでは、麻薬や児童ポルノなど違法な物品が売買されている。サイバー攻撃や迷惑メール、ネット詐欺などのプラットフォームとしても使われる。
ダークウェブはサイバー空間に存在するが、そのコンテンツを配信する物理的なサーバーは現実世界に存在する。
だが、一般的なホスティング事業者はダークウェブに利用させない。違法な使い方をしていることが分かればすぐに停止する。そこでダークウェブ向けのホスティング事業者が登場している。ある事業者のデータセンターは、なんと北大西洋条約機構(NATO)の軍事施設跡地にあった。
600人の警官がアジトを急襲
ドイツのサイバー犯罪対策国家中央事務所(LZC)とラインラント・プファルツ州警察は2019年9月末、ダークウェブ向けのデータセンターを強制捜査したことを明らかにした。データセンターはNATOの掩体壕(えんたいごう:敵の攻撃から装備や物資、人員などを守るための施設)として使われていた建物を利用していた。
容疑者は13人。7人はその場で逮捕し、残る6人には逮捕状を発行したという。
掩体壕は英語でバンカー(bunker)なので、このデータセンターは「サイバーバンカー(Cyberbunker)」と呼ばれていた。