日本に6社しかないとされるユニコーンの一角、労務管理SaaS大手のSmartHR。同社を率いる芹沢雅人CEO(最高経営責任者)は顧客ニーズを満たす製品開発と、革新的な製品を生む非連続な成長の両立を志向する。人的資本経営への注目も追い風に、SaaS間連携を進めて従業員データのハブの地位を目指す。
(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ編集長、玉置 亮太=日経クロステック/日経コンピュータ)
小学校のころからプログラミングが好きだったそうですね。
プログラミングというかパソコンは好きでしたね。インターネットとか。プログラミングに関しては中学校でパソコン部に入っていて、主に身内で遊ぶ程度の目的でゲームをつくったりしていました。
ナビタイムジャパンのエンジニアを経てSmartHRに入社しました。どのようなところに魅力を感じたのでしょうか。
エンジニアとして面白いプロダクトだと思いました。私自身は労務のことにそれほど詳しくありませんでしたが、日本で働く人のデータを体系的に管理できるんじゃないかなと直感的に思ったんです。
データを整理することはこれからの時代、かなり強みになると感じています。世界中のデータを整理するといったスローガンを掲げる米グーグルに近い考えですね。日本の従業員、働く人のデータを管理するのはすごく面白いし、この会社がつくろうとしているプロダクトだったら、その入り口になるんじゃないかと思って、かかわってみたいという好奇心でしたね。
ビジネスとして絶対に成功するだとかは全然分からないので、あまり考えていませんでした。私の同期入社は4人くらいいました。当時は創業メンバーばっかりで、従業員が3人のところにどどっと入ったという感じですね。
労務管理の分野には当時から様々なソフトやサービスがありました。既存製品と何か違いを感じたのでしょうか。
当時の話で言うと、完全にクラウドネイティブだったのが大きな違いだと思います。昔はこうした業務ソフトはCD-ROMでインストールして使う形態がほとんどでした。
いろいろな会社が徐々にクラウド版を提供し始めてはいましたが、最初から100%クラウドで始めるのは新しかった。クラウドから始めているので、従業員にアカウントを発行してスマートフォンなど個々の端末からログインするといった発想が組み込まれていたのも新しかったと思いますね。