全3132文字
PR

体脂肪計などの開発・販売からヘルシーなメニューの食堂開発、企業や自治体向けの健康づくり支援まで事業を広げているタニタ。目指すのは「健康総合企業」だ。働き方改革の一環で社員を個人事業主として独立させる制度を導入し、話題を集めた。批判は覚悟の上と語る谷田千里社長が目指す、理想の企業像とは。

(聞き手は玉置 亮太=日経クロステック/日経コンピュータ、外薗 祐理子=日経クロステック/日経コンピュータ)

谷田 千里(たにだ・せんり)氏
谷田 千里(たにだ・せんり)氏
1972年大阪府吹田市生まれ、97年佐賀大学理工学部卒業。船井総合研究所などを経て2001年タニタ入社。2005年タニタアメリカ取締役。2008年5月から現職。社員食堂のメニューを提供する「タニタ食堂」事業や、企業や自治体の健康づくりを支援する「タニタ健康プログラム」などを展開し、タニタを健康総合企業へと変えた。(写真:陶山 勉)
[画像のクリックで拡大表示]

企業や自治体で働く人向けの健康増進支援サービス「タニタ健康プログラム」が好調ですね。

 はい、通信機能を備えた当社の体組成計や活動量計、血圧計で歩数や体脂肪率、筋肉量などを記録してもらい、健康増進や医療費削減に役立ててもらうサービスです。2009年にまずは社員向けに提供を始めて、その後、社外にも広げました。今では約150の自治体や企業が導入し、利用者は8万人を超えます。

(写真提供:タニタ)
(写真提供:タニタ)
[画像のクリックで拡大表示]

サービス開発のきっかけは。

 もちろん、IoT(インターネット・オブ・シングズ)やビッグデータ時代の到来を見据えて準備を進めて…。というのは実は冗談です(笑)。

 私は父である先代社長(谷田大輔氏)の後を継いで2008年にタニタの社長に就任しました。当社は1992年に世界初の体脂肪計を、2004年には世界初の部位別体組成計を発売し、それぞれ高いシェアを持っていました。しかし私が社長のバトンを受け取ったとき、グループの売り上げは緩やかに落ちていました。

 IoTという言葉がないころから通信機能を持つ計測機器を開発していましたが、売れなかったので販売終了にすべきとの意見が出ていました。計測機器で取得したデータを預かってWeb上で見られるサービスを提供する子会社のタニタヘルスリンクも赤字で、いつ潰すのかという話も持ち上がっていました。「何とかしなければ」と、社員に計測機器を配って強制的に使ってもらうことにしたのです。

社員の反応はいかがでしたか。

 「なんでこんな面倒なことをしなければならないのか」と、評判は散々でした。どうにか社員の協力を得て、1年ぐらい経ってデータが集まり始めました。私はそのとき「これはすごい価値があるデータではないか」と直感しました。

 当社の健康保険組合に問い合わせたら、2010年度の1人当たり医療費はプログラム導入前の2008年度と比較して9%減少していました。今で言う健康経営に役立っていたわけです。そこでタニタ健康プログラムを自治体や企業に展開しようと決めました。