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住友生命保険は健康増進型保険「Vitality」をはじめとするウェルビーイング支援を経営方針に掲げる。高田幸徳社長はVitalityの加入者データを生かした生活改善サービスの開発に手応えを深めた。ITは経営の半分を占める重要課題と断言、次期基幹システムの方針策定や人材育成に取り組む。
(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ編集長、玉置 亮太=日経クロステック/日経コンピュータ)
住友生命保険は顧客の健康増進やウェルビーイング(心身の健康や幸福)への貢献をビジョンに掲げ、デジタルで顧客の健康データを集めています。狙いは何でしょうか。
もともと生命保険とは死亡や病気、介護といった人生のリスクへの経済的な備えをするためのものです。ただ、平均寿命が延びるに従い、1人で自分らしい生活ができる「健康寿命」をもっと延ばしていかないといけないという社会課題がクローズアップされるようになりました。
実は、日本は平均寿命と健康寿命のギャップが非常に大きい国です。男性が約9年、女性は20年近くこのギャップがあるとされています。つまりその間は誰かのお世話にならないと生きていけないということで、介護期間が非常に長いのが日本の課題です。健康寿命を延ばすには適度な運動や野菜中心の食生活、社会とのつながりを保つことが重要とされています。
当社は「ウェルビーイング・アズ・ア・サービス」、略してWaaSという造語で、顧客の人生やライフステージのいろいろな問題を解決するサービスを提供しようと考えています。保険も当然その一環ですが、保険はあくまで備えであって、それで生活を変えるには至りません。万が一何かの病気になっても重症化を抑え、幸せに生きていけるメニューを提供するのが狙いです。