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 行政サービスの観点では高齢者をはじめとする様々な利用者のデジタルデバイド解消も欠かせない観点です。現在の都の行政サービスは高齢者にとって必ずしも使い勝手が良いとは言えません。デジタルデバイド解消に向けた予算を2021年度予算に盛り込もうと思っています。

 デジタルデバイドの解消に向けては、使い方の支援や便利さを実感してもらう流れを作ることも重要だと思います。例えばある町内会で拝見したのですが、役員同士の連絡にメッセージングアプリのLINEを使っていました。町内会の役員はだいたいお年を召した方が多いのですが、LINEを使いこなしていて「おお」と思ったんです。というのは、お孫さんの写真や動画を見るためにLINEを使い始めて、利用が拡大していったわけです。

利用を促す動機づけが重要だと。

 プラスアルファの利点を実感できれば、みんな使いこなすんですよね。

 デジタルデバイドの解消も含めて、スマート東京実施戦略の中ではスマートシティー実現に向けて、5G(第5世代移動通信システム)をはじめとする高速モバイルインターネットによる電波の道でつながる東京、公共施設や都民サービスのデジタルシフト、都庁のデジタルシフトを3つの柱にしています。これらの取り組みを先行実施するエリアとして5つの地域を決めました。西新宿、都心部、ベイエリア、南大沢、そして島しょ部です。

 それぞれ最先端技術を活用して東京版のスマートシティーのモデルを作り、都内全域、さらに全国各地へと展開したいと考えています。それがゆくゆくは日本全体の持続的な成長につながるんじゃないかと。

 具体的な取り組みは令和3年度から本格的に動き出します。例えば南大沢エリアでは東京都立大学を中心に、ローカル5Gを生かして車椅子を安全に走行させる実験などに取り組みます。5GやAI(人工知能)といったデジタル技術の1つひとつを、日常生活に密着した形で活用します。

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試行より実行、デジタル化の成果出す

デジタル化の取り組みに関しては、実証実験どまりに終わるケースが少なくありません。東京都は大丈夫ですか。

 そうですね。日本の大多数はだいたい試行ばっかりしているんです。大事なのは試行じゃなくて実行。東京都の取り組みでは、実行を早くしたいですね。

各種の施策を実現する上でも人材が重要です。2021年4月に新設する「デジタルサービス局」をはじめ人材の拡充策は。

 この4月に始まる2021年度からは、ICT専門職の採用枠を新たに設けます。従来の専門職採用枠としては医師や薬剤師、保健師、町づくりの領域では土木や建築などがありました。ただ、ITはないんです。近いものがあるとすれば電気でしょうか。