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 高等専門学校(高専)が創造性と実践性を兼ね備えた技術者育成の場として評価を高めている。IT業界で活躍する高専出身者は多く、「ロボコン」「DCON」といった高専発コンテストも好評だ。国立高専を設置する国立高等専門学校機構の谷口功理事長は、「Society 5.0」時代の人材育成に挑むと力を込める。

(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ編集長、増田 圭祐=日経クロステック/日経コンピュータ、大谷 晃司=日経クロステック/日経コンピュータ)

谷口 功(たにぐち・いさお)氏
谷口 功(たにぐち・いさお)氏
1975年東京工業大学大学院理工学研究科博士課程修了(工学博士)。熊本大学工学部助手、教授、工学部長などを経て2009年学長に就任。2015年に退任後、2016年、国立高等専門学校機構・理事長に就任(現職)。熊本大学名誉教授、日本学術会議連携会員など兼任。専門分野は(生物)電気化学。1947年奈良県生まれ。(写真:村田 和聡)
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IT業界で活躍する高専出身者が増えています。

 中学校を出ると高校に入学するのが一般的ですよね。95%は高校に行く。高専に入るのは、先生がちょっと持て余すというか、悪い意味ではなく先生の教える範囲に収まらない学生です。

 ロボット開発に興味を持っていたり、情報分野で何かやっていたりするような人たちが学生として入ってくる。だから「ポケモン」をつくるような人が出てくるわけです(編集部注:「ポケットモンスター」の生みの親として知られるゲームクリエイターの田尻智氏)。

 今、東京大学は高専生に入学してほしいと言ってきます。(一般入学の)東大生は情報やAI(人工知能)の理論ならすぐに分かるけど、それを何に使うのかとなると弱い。高専生は使い方が分かる。東大の松尾先生(東京大学大学院工学系研究科の松尾豊教授)は「高専から来た学生はAIを教えるとすぐに何かに使ってくれるからいい」とよく言っています。