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LINE利用者の情報を中国で閲覧できた一件を機に注目を集める経済安全保障。自民党のルール形成戦略議員連盟会長を務める衆議院議員、甘利明氏は米中対立や中国の国家情報法を背景に、全産業のサプライチェーン見直しを提起する。求めるのは中国企業との関係断絶ではなく、リスクに応じたデータの取り扱いの仕分けだ。国の経済安全保障政策を強化する一括法案を提言し、企業にも「存亡に関わる変化」を警告する。

(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ編集長、玄 忠雄=日経クロステック/日経コンピュータ)

甘利 明(あまり・あきら)氏
甘利 明(あまり・あきら)氏
1949年生まれ。ソニー勤務、父・甘利正氏の秘書を経て、1983年の衆議院選挙に初出馬し当選。以来12期連続で当選し、1998年労働相、2006年経済産業相などを歴任。2017年に自民党のルール形成戦略議員連盟の設立発起人となり現職。党の税制調査会長や政務調査会デジタル社会推進本部座長なども兼務する。(写真:村田 和聡、以下同)
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LINE利用者の情報が中国の関連企業から閲覧できた問題を契機に、企業や政府にデータ処理の委託状況を調査、報告するよう求めました。何が問題だと捉えていますか。

 AI(人工知能)やデータ分析技術が急速に発展し、森羅万象をデジタル化して把握しようというデータ駆動型社会への動きが世界規模で始まっています。しかし目指す社会の姿に関する考え方は国際的に二分されています。

 1つはデジタルを国民の利便性や災害などの危機管理に活用して還元する国民主権型の社会。もう1つはデジタルを国の統治や国民監視の最強のツールとして組み込もうとする、いわば国家統治型や国民監視型の社会です。

 日本や欧州、米国が重視する前者の価値観と、国家運営の効率性を重視する中国のような後者の価値観を巡って、国際標準を巡るせめぎ合いが始まっているわけです。LINEの問題は、価値観が全く異なる中国で日本人の個人情報や重要データが扱われているリスクを顕在化させました。