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個人と組織の関係性を良くするために、社員が自ら考えて動く「キャリア自律」を提唱する。企業の経営戦略や人事戦略と社員のキャリア戦略をかみ合わせるべきと力説。ジョブ型雇用を導入・検討する日本企業に対し、自社と社員の将来につながる制度運用を促す。

(聞き手=浅川 直輝、外薗 祐理子)

田中 研之輔(たなか・けんのすけ)氏
田中 研之輔(たなか・けんのすけ)氏
1976年東京都生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。豪メルボルン大学客員研究員、米カリフォルニア大学バークレー校客員研究員などを経て法政大学キャリアデザイン学部教授(現職)。専門はキャリア論、組織論。一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事も務める。『プロティアン̶70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本論』(日経BP)など著書25冊。(写真:的野 弘路、以下同)
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これまで24社で顧問を務めた経験から、企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める中で、人事担当者はどのような悩みを抱いていると考えますか。

 「ITエンジニアを採用しないとDXができない」といった悩みをよく聞きます。しかし卒業の時点で高度な専門スキルを身につけているエンジニアはわずかです。

 素質のある人を見つけてITエンジニアに育てるか、ITエンジニアと議論しながら一緒にシステムやサービスを創造できる人材を育てるか。本当に足りないのはトップIT人材ではなく、そうした(候補となる)人材でしょう。

そうしたIT人材を育成するポイントは。

 企業の経営戦略と人事戦略、そして社員個人のキャリア戦略の3つをかみ合わせることが一番重要です。会社がDXを進めるなら、社員はデジタルの素養を持つよう自らキャリアを変革する必要があります。私は「CX(キャリアトランスフォーメーション)」と呼んでいます。DXとCXは車の両輪です。

 これまでメンバーシップ型雇用の下、会社組織の中でいかにキャリアを積むかという「組織内キャリア」が重視されてきました。今後は個人が自律的にキャリアを形成する方向へと、キャリア戦略を根本的に変革する必要があります。個人の主体的なキャリア形成が企業の持続的な成長につながります。