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トマトなどの加工食品から農家の販路開拓や営農支援まで。カゴメが事業領域の拡大を急いでいる。AIをはじめとするデジタル技術を駆使し、食品メーカーの枠を超えた取り組みを続ける。「日本人1人あたりの野菜摂取量350グラム」を中期ビジョンに掲げ、食を通じた社会問題の解決に取り組むと宣言する山口聡社長にその戦略を聞いた。

(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ編集長、金子 寛人=日経クロステック/日経コンピュータ)

山口 聡(やまぐち・さとし)氏
山口 聡(やまぐち・さとし)氏
1960年生まれ、静岡県出身。1983年東北大学農学部卒、同年カゴメ入社。執行役員イノベーション本部長、常務執行役員野菜事業本部長兼ベジタブル・ソリューション部長などを経て、2020年1月から社長 兼 野菜事業本部長(現職)。(写真:村田 和聡)
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新型コロナウイルス感染症の流行が続いています。事業への影響は。

 国内の個人向け事業では、トマトジュースや野菜100パーセントジュースの出荷が伸びています。2月に発売した、野菜に豆乳を加えた「野菜生活 Soy+(ソイプラス)」も順調です。

 野菜を使った料理などを紹介する当社のWebサイト「VEGEDAY」も14万人超のアクセスを記録しました。1人ひとりがコロナへの対応を強いられる中、健康的な食事を取りたい、食を通して免疫力を高めたいといった健康志向の高まりを感じています。

 一方、外食産業など法人向けの売り上げは国内外とも減少しています。飲食店の休業に伴い、例えばピザチェーンのピザソースの販売などが影響を受けています。とはいえ、経済活動の再開の動きも早まっており、内食から一部外食に戻る動きも出てくるでしょう。販売状況は刻々と変化しますので、迅速かつ柔軟に対応します。

コロナ前の働き方には戻らない

社員の働き方も変わったのではないでしょうか。

 工場や物流部門などの一部を除き、社員は7月末まで原則在宅勤務としました。幸い、当社は働き方改革の一環で2017年に在宅勤務制度を導入しており、人事制度や情報システムの整備を進めていました。ここ数年の準備をこのコロナ禍で生かせました。

 今後コロナが収束しても、元の働き方には戻らないでしょうね。みんながフルタイムで出退勤し、密な会議室で会議をし、帰りに1杯といった働き方から、テレワークでできる業務と出社が必要な業務を分けて、双方の働き方を混ぜるといった新しい働き方に移行していくのだろうと思います。

(写真:村田 和聡)
(写真:村田 和聡)
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