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世界のパソコン市場で首位を争う米HP。コモディティー製品のメーカーからデジタルトランスフォーメーション(DX)の担い手に変わるべく事業改革を急ぐ。カギと位置付けるのが3Dプリンター事業だ。試作にとどまらず部品などの量産に使える用途に目処を付けた。社長兼CEO(最高経営責任者)として同社を率いるディオン・ワイズラー氏に、3Dプリンターの可能性を聞いた。

(聞き手は玉置 亮太=日経 xTECH IT 副編集長、金子 寛人=日経 xTECH/日経コンピュータ)

Dion Weisler(ディオン・ワイズラー)氏
Dion Weisler(ディオン・ワイズラー)氏
豪モナシュ大学卒。豪通信会社テルストラ、台湾エイサー、中国レノボ・グループなどを経て、米ヒューレット・パッカード(現HP)に入社。アジア太平洋&日本地域のパソコン・プリンター事業担当上級副社長などを歴任し、2015年から現職。(写真:村田 和聡、以下同)
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2015年にHPとHPエンタープライズ(HPE)を分社しました。現在のHPはどのような会社なのでしょうか。

 顧客企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むジャーニー(旅路)を、テクノロジーで支援する企業です。ただデジタルの恩恵にあずかれるようにするだけでなくよりセキュアに、システムが備える脆弱性を減らしリスクを軽減しつつDXを推進できるようにします。

 当社が現在のミッションにたどり着いたのは、分社後に私たち自身を再定義する取り組みを進めてきた結果です。「私たちはどんな会社になりたいだろうか」と自問自答したのです。その際に重視したのが、この世界は10年後、20年後、30年後、どのように変わっているかという、いわゆるメガトレンドです。

 世界はさらに都市化が進み、グローバル化も続いていくでしょう。イノベーションもますます加速していきます。これらの変化が私たちの生き方や仕事の仕方、組織運営に大きく影響すると考えています。

 調査の結果出てきたメガトレンドの方向性に基づき、お客さまが求める製品やサービス、当社の立場を考えました。経営戦略を練り上げる過程で試行錯誤して、世間がDXという言葉を使い始める前に思考を深めたのです。

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