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 ダイシングソーをはじめとする半導体製造装置のメーカーであるディスコ。ITの内製化に熱心な企業としても知られる。最近は内製化策をさらに進めて、全社員をプログラマーにするITベンダー顔負けの取り組みを進めている。狙いと背景、成果を関家一馬社長に聞いた。

(聞き手は玉置 亮太=日経 xTECH/日経コンピュータ 副編集長、西村 崇=日経 xTECH/日経コンピュータ)

関家 一馬(せきや・かずま)氏
関家 一馬(せきや・かずま)氏
1988年、慶応義塾大学理工学部卒。1989年ディスコ入社。1995年取締役、2002年常務取締役兼PSカンパニーバイスプレジデント兼PSカンパニー技術開発部長。2009年から代表取締役社長兼最高執行責任者(COO)兼最高情報責任者(CIO)兼技術開発本部長。2017年から最高経営責任者(CEO)を兼務し現職。(写真:村田 和聡、以下同)
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全社員をプログラマーにする大胆な計画を進めています。

 正しくはプログラマーとは言えない人も対象にした「段級制度」です。社員が自由にスキルを身に付けてもらう位置付けにしています。コンピューターが全く苦手な社員はまず「Excelで日付操作ができる」といった8級を目指すなど、現状よりも3つくらいレベルを上げることを目指しています。

 一方初段は顧客向けソフトや他部署が使う業務用ソフトを設計できるレベルです。そうした社員は3つレベルを上げて、「アセンブラでソフトを設計できるレベル」である4段を目指してほしい思っています。

段級制度を始めた狙いは何でしょう。

 大きな背景はソフトウエアエンジニアの数が不足していることです。情報システム部門などソフトウエア開発を専門に担う部署は多くの案件を抱えて忙しい。どこの会社も同様ではないでしょうか。にもかかわらず、利用部門はちょっと勉強すれば自分でできるソフトウエア開発でも情報システム部門に頼んでいる。利用部門のソフトウエア開発スキルを高めて自ら開発できるケースを増やし、結果として情報システム部門の負担を減らす。これが第一の狙いです。

 もう1つは利用部門がソフトウエア開発を上手に頼めるようにすることです。素人は開発するのがどれだけ大変か分からないので、無理難題でも簡単に頼んでくるわけです。自身がソフト開発に携わった経験があれば、仕様や要件を自分なりにかみ砕いて依頼できるようになるでしょう。

ソフト開発を情報システム部門が「独占」するのはおかしい

ほとんどの企業は情報システム部門など専門組織がソフトウエアを開発するものと考えているのでは。

 そういう固定概念があるのは事実でしょう。会社によっては、ある部署が勝手にソフトを作り始めると、「誰が管理するのか」などと言って情報システム部門が反対します。自分たちの領域が侵されるのを邪魔しようとしているかのようです。

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 当社は社員が自由に業務を選べる「全業務自由化」を実践しています。ある業務部門がソフトを開発するのを、他部門が邪魔しないルールを設けています。業務の現場でスマホアプリが必要になった時、アプリ開発のスキルを持つ社員なら自分で作ってしまう動きが自然に生まれています。