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営業利益が5期連続の最高益と好調のNTT東日本(2019年3月期に会計基準を変更)。だが、売上高は減収が続き、音声系の収入減をIP系の収入増でカバーできない状況が続く。2024年3月期の増収転換に向けた戦略を井上福造社長に聞いた。

(聞き手は榊原 康=日経 xTECH)

井上 福造(いのうえ・ふくぞう)氏
井上 福造(いのうえ・ふくぞう)氏
1980年に東京大学法学部を卒業し、日本電信電話公社(現NTT)入社。2009年にNTT東日本取締役、2014年に常務取締役。2016年に副社長、2018年に社長(現職)。1955年生まれの64歳。兵庫県出身。(写真:新関 雅士、以下同)
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社長就任後の1年を振り返ってどうでしたか。

 連続増益・最高益の流れを維持できたので、まずはほっとしています。会計基準を変更したので単純比較できませんが、成果をしっかり残せたのはよかったです。ただ稼ぐ力を磨くのは難しく、将来に向けた力強さという点ではまだまだです。

2020年3月期は営業利益を前期比104億円増の2530億円とする目標を掲げました。

 NTTドコモの落ち込みをグループ全体で支えようとストレッチした面もあるので、結構厳しい目標です。光回線サービス「フレッツ光」の純増数目標は40万件としました。2019年9月1日からフレッツ・テレビでBS/110度CS左旋4K・8K放送の提供が始まります。2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けてテレビ需要が高まると想定すれば、フレッツ光を伸ばすチャンスでもあります。40万件の純増数を達成できれば(104億円の増益は)届かない数字ではないと考えています。

 コスト削減にもしっかり取り組みます。成長分野と位置付ける付加価値系や保守系のサービスも順調に伸びていますが、2024年3月期の増収転換に向け、さらにドライブをかけていきます。

通信速度が毎秒10ギガビットのフレッツ光の登場はまだでしょうか。

 準備は進めていますが、本当にマーケットがあるのか読めません。「5G to the Home」のような展開となれば個人向けの10ギガは要らなくなります。無線は光回線のような工事が不要です。5Gの料金プランが定額制になれば(トラフィックの)オフロード需要もなくなるかもしれません。(家庭をつなぐ)ラストワンマイルがこれからどうなっていくのかなかなか読めない部分があります。

2019年3月期の決算説明会では、地域や個別のニーズに応じてさまざまなプレーヤーが5Gネットワークを構築できる「ローカル5G」への参入意向を表明しました。

 具体的な展開はこれから検討しますが、我々のSIビジネスのほとんどはLANやWANの構築です。その際に無線を扱えないとなれば致命的となります。ローカル5Gは非常に魅力的でスマートタウンのような大規模LANの構築でぜひ利用したい。

 IEEE 802.11ahを含め、これまで無線LANやLPWA(ローパワー・ワイドエリア)を活用してきましたが、どうしてもカバーできないユースケースがありました。鳥獣被害対策であれば山林全体をカバーできるような無線がほしいですが、無線LANではどうしてもピンポイントになってしまいます。

 もちろん、携帯電話網でカバーする方法がありますが、やはりインフラ構築の自由度が低い。他のトラフィックの影響を受けることもあります。その点、ローカル5Gは非常に使い勝手のよいソリューションだと思っています。デバイスの登場もこれからで課題はありますが、しっかり取り組んでいきます。