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 日本のものづくりを支える鉄鋼業大手JFEスチールのトップとして、全社のデジタルトランスフォーメーション(DX)とグリーントランスフォーメーション(GX)を率いる北野嘉久社長。目指すのは全生産ラインをデジタル化し、生産や品質をリアルタイムに管理する仕組みの確立だ。GXについては水素の活用に力を注ぐ。JFEスチールはDXやGXを軸に、今よりも多様な人材が活躍できる会社を目指している。

(聞き手は戸川 尚樹=日経クロステック発行人、玉置 亮太=日経クロステック/日経コンピュータ、吉田 勝=日経クロステック/日経ものづくり)

北野 嘉久(きたの・よしひさ)氏
北野 嘉久(きたの・よしひさ)氏
1982年東京工業大学大学院修士課程修了、川崎製鉄(当時)入社。2011年JFEスチール常務執行役員、2014年専務執行役員、2018年副社長。2019年4月より現職。1958年2月生まれ。(写真:村田 和聡)
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鉄鋼業界は原料炭の高騰や円安など厳しい事業環境が続きます。足元の業績や事業環境をどう評価しますか。

 2021年度通期の鉄鋼事業の連結セグメント利益は3200億円と、現在の第7次中期経営計画の目標値を大きく上回ることができました。2019年度と2020年度は鉄鋼事業が赤字でしたので、2021年度は黒字の必達を目標に従業員と一緒に頑張った結果が出たのではないかと受け止めています。

 ただ、セグメント利益には棚卸しの評価益をけっこう含めていますので、実力的にはまだ道半ばと思っています。(現中計の期間である)2024年度までに実力を高めたいと考えています(本誌注:2022年8月3日に発表した鉄鋼事業セグメント利益の2022年度通期の見通しは前期比1737億円減の1500億円。インタビューは2022年7月26日に実施した)。

具体的にはどんな分野を対象に?

 販売価格の改善にまず取り組まなければなりません。原材料にエネルギーと最近は価格の変動が非常に激しく、しかも高止まりしています。製品の販売価格へ速やかに転嫁できるようにしたい。

 物価高に対してはコスト削減活動も欠かせません。価格転嫁とコスト削減、これらに両輪で取り組みます。

製品価格への転嫁は順調に進むでしょうか。

 簡単ではありませんが、それに取り組まないと我々としても生産を継続できません。当社は量から質へ転換すべく、高付加価値商品の比率を高めています。研究開発や設備投資など、様々な取り組みを重ねていますので、その価値を価格で顧客に認めていただきたいと思っています。

 我々の誇る高品質の鉄鋼製品の1つが電磁鋼板です。EV(電気自動車)の駆動モーターや発電所の変圧器などに使う高級鋼板で、軽くするための薄肉化、高強度はもちろんのこと、モーターの高効率化のための低鉄損および小型化,高トルク化のための高磁束密度が求められます。

 EV需要や省エネが世界的に求められる昨今、高効率の電磁鋼板の需要はますます高まります。ここで当社は勝負しなければならない。いま、電磁鋼板分野でインド企業とのジョイントベンチャー(JV)を検討するなど、世界戦略を進めています。

北野社長の発言の概要
北野社長の発言の概要
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鉄鋼分野では中国や韓国勢との競争が激しさを増しています。

 日本の鉄鋼メーカーは国内の人口減による内需の低迷と生産能力の過剰、製鉄所の高い固定費などの理由から、海外に比べて競争力が劣ると言われることがあります。ですからまず構造改革に取り組んでいます。その一環として、東日本製鉄所京浜地区の高炉を断腸の思いで2023年に休止します。