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事業化に至る全工程をデジタルに

AI(人工知能)によって素材開発を効率的に進める「マテリアルズ・インフォマティクス」の部署を研究開発本部に設けるなど、デジタル技術活用にも積極的です。

 研究開発部門でAIを活用するのは、開発業務を効率化するためです。過去の研究データをAIで解析して、開発時間の短縮などを目指します。

 一方で、研究開発だけを効率化しても、競合に対する優位性を出しにくい。素材の研究開発から製品化、量産化までの工程全体をデジタル化することで競争優位性が生まれます。それにはやはりデジタルデータが大きな意味を持ちます。

 IoTによるセンシングの技術も活用しなければなりません。開発から事業化までの一連の流れについて専門家が集まり、全体最適を考えながらスピーディーに進める必要があります。

 具体策として研究開発部門にインフォマティクス推進センター、生産技術部門にデジタルイノベーションセンターを設けました。彼らが中心となり、旭化成のデジタル変革を推進します。

(写真:村田 和聡)
(写真:村田 和聡)
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高度デジタル人材を150人育成

デジタル人材の充実が欠かせませんね。

 はい、実は2017年に人事制度を改定しました。データサイエンティストも含む高い専門性を持つ人材を高度専門職として処遇し、専門性を生かして活躍できる環境を整えています。その結果、ここ2年で中途採用は2ケタ台から3ケタ台に増えました。

 データを扱える人材や、データを理解できる人材などをそれぞれ何人育成するかも目標に掲げています。昨年から新入社員には全員、AIの研修をしています。

 さらに社内のデータサイエンティストやエンジニアなどを定期的に集めて、当社のデジタル活用について議論させています。デジタル人材をもっと増やし、レベルアップもさせたい。具体的な成果を現場の人たちに示し、デジタル技術をどんどん活用する機運を社内で高めるのが経営にとって極めて重要です。

デジタル人材育成の数値目標は。

 マテリアルズ・インフォマティクスやIoTを活用した生産を進めるには、業界でもトップクラスのデータサイエンティストが必要です。2021年度末にデジタルプロフェッショナル人材を150人以上にする計画です。