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官民協働のデジタル庁で、大臣を補佐する民間出身者トップの職であるデジタル監に就任した石倉洋子氏。ユーザー視点のデジタル化へ、「完璧に答えをつくる」志向だった官僚の意識変革が必要と説く。官民の違いを乗り越えて力を発揮できるよう、組織デザインから人事、人材開発まで改革を進める。

(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ編集長、長倉 克枝=日経クロステック/日経コンピュータ)

石倉 洋子(いしくら・ようこ)氏
石倉 洋子(いしくら・ようこ)氏
1949年生まれ、神奈川県出身。1985年米ハーバード大学大学院経営学博士(DBA)修了。2011年慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、2012年一橋大学名誉教授。2021年9月から現職。(写真:陶山 勉)
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デジタル大臣の補佐と庁の実務とりまとめを担うデジタル監の初代に就任しました。引き受けた経緯をお聞かせください。

 当初は非常勤の「CxO」になるはずだったんです。「チーフ・イノベーション・オフィサー」のような。デジタル化は絶対に必要だし、(デジタル庁関係者に)面白い人たちがいると知っていたので、引き受けていいですよと。

 ところが(2021年)8月半ばに「デジタル監に」という話が来ました。平井(卓也・前デジタル大臣)さんからも電話がかかってきて、時間が迫っている中で、その日のうちに決めました。

 フルタイムのデジタル監になると、これまで携わっていた民間企業の社外取締役などは一切できなくなります。就任まで1週間しかない中で、全部説明して断ったのがすごく大変でした。

実際にやってみて、デジタル監の役割をどう理解していますか。

 デジタル庁の最大の特徴は官民が一緒に仕事をするのが大きな特徴の組織である点です。(デジタル監は)その民間側のトップです。

 私はこれまで、審議会の委員など政府の仕事は基本的に断ってきていました。民間企業の仕事の方が好きで、社会を変えられると思っていたからです。だから政府の仕事を全然分かっていませんでした。

 役所は民間と全く違う世界というのが、最近よく分かってきたところです。やろうとしていることや課題、改善の方向が見えていても、具体的な話になると規制や法律が壁になる。