三井住友フィナンシャルグループが量子関連技術の業務活用を進めている。三井住友銀行や三井住友カードのコールセンターのシフト作成に適用。人員の過不足を減らすといった有用性を実証した。
三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)が量子技術による業務効率化に取り組んでいる。2020年10月までに、グループの三井住友銀行や三井住友カードで手作業だったコールセンターのシフト作成に、日立製作所が開発した量子アニーリングの関連技術である「CMOSアニーリング」を適用し、人員の過不足を最大34%、シフト作成時間を約80%削減した。現在は新型コロナウイルス禍でオペレーターの出勤を制限して規則的な勤務としているが、新規感染者数の動向などをみながらCMOSアニーリングによるシフト作成の本格運用を検討している。
2021年6月からは、株価暴落や金利高騰といった異常事態が発生した場合の損失やその回避策をシミュレーションする「ストレステスト」でも実運用を始めている。
SMFGの荒柴壮一IT企画部上席部長代理兼デジタル戦略部上席部長代理は「グループ内で似た課題を抱えているケースは多く、量子アニーリング(の関連技術)の応用範囲は広い」と、活用の展開に意欲を見せる。
SMFGは2017年11月から量子コンピューターの関連技術を「将来、事業全般に大きな影響を与えうる革新技術」と位置づけたうえで、IT企画部が中心となって情報収集と活用の模索を続けてきた。量子アニーリングについては日立製作所やNECらと共同で概念実証(PoC)を実施し、実用事例の創出に取り組んでいる。