富士フイルムHDが部品調達先との間で、機密の計画情報の共有を始めた。新たに構築した基盤で、半年先までの出荷計画や部品需要量などを開示。調達先との信頼関係を強化し、部品の安定確保を図る。
かつて写真フィルム事業で世界を席巻し、2000年代にはディスプレー材料や化粧品、医療機器、医薬品など新領域に進出して成長を遂げた富士フイルムホールディングス(HD)。そんな業態転換の「巧者」である同社が新たな成長に向け、全社のDX(デジタルトランスフォーメーション)を急ピッチで進めている。
注目施策の1つは、製造業の生命線といえるサプライチェーンの変革だ。2022年4月、サプライヤーと円滑に情報共有するブロックチェーン基盤「デジタルトラストプラットフォーム」を稼働させた。子会社の富士フイルムが一部のサプライヤーと試用しており、有効性を確認したうえで2023年4月をめどに本格稼働させる考えだ。
富士フイルムとサプライヤーは通常、受発注や納品といった取引関連データを主にEDI(電子データ交換)システムでやり取りしている。加えて両社の担当者間では情報交換のために、主に電話やファクシミリ、メールを利用していた。
これに対してデジタルトラストプラットフォームでは、富士フイルムとサプライヤーが同プラットフォームで情報交換する。将来は取引関連データを集約する構想もある。