札幌市が効率的なシステム運用を目指し、庁内システム基盤を刷新した。オンプレミスとクラウドサービスを組み合わせたハイブリッドクラウドを導入。コスト削減に加え、柔軟で安定的なシステム整備の環境を実現した。
経費の抑制と高度な行政サービス維持の両立に向けてハイブリッドクラウド基盤を構築する――。札幌市は2年半前の2020年3月、「札幌市ICT活用戦略」の中でこのように宣言し、ハイブリッドクラウド基盤の構築を公表した。技術や環境が目まぐるしく変化する中、情報システムやサービスの整備を柔軟かつ低コストにするためである。
2年後の2022年3月、これまで札幌市役所菊水分庁舎のデータセンター内で稼働していた庁内の複数の業務システムで構成する「全庁共通システム」をハイブリッドクラウド環境に移行した。全庁共通システムはこれまでオンプレミスの共有資源基盤で稼働していたが、同基盤の更新時期に合わせて同センター内の同基盤と民間企業のクラウドサービスを使い分けられるようにした。全庁共通システムの一部をクラウドサービスで稼働させている。ハイブリッドクラウドへの移行で効果が大きいのが運用コストの削減である。移行前に比べて年間約4割の削減になる見込みだ。