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現場が回らない

 オークマやリコーがロボットアームに参入するのは、ロボットの需要がかつてないほど高まっており、そこに新たな事業機会を見いだしているからだ。オークマはARMROIDを2018年11月開催の「第29回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」で初めて披露し、その後もプライベートイベントなどで顧客に提案したところ、「予想以上の反響があった」(同社の千田氏)という。

ロボットの需要は右肩上がり
ロボットの需要は右肩上がり
全世界での産業用ロボットの販売台数は増加基調にある。2017年までは実績値、2018年以降は予測値。(出所:国際ロボット連盟)
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 従来、ロボットは手作業よりもコストが低い場合のみ導入されていた。ところが、先進国の少子高齢化や新興国の人件費高騰に伴い、工場などではそもそも作業者の確保が難しくなっている。一時的なコスト上昇に目をつむってでもロボットを使わなければ、現場が回らないのである。「現場の作業者不足はかなり深刻な状況だ」(オークマの千田氏)。

 現在、ロボットアームが導入されているのは主に大量生産、言い換えれば長期にわたって同じ作業を何度も繰り返す用途である。代表的な例として、自動車工場の溶接や塗装が挙げられる。これらの用途では動作速度や位置決め精度といった性能への要求が厳しく、当面は既存のロボットメーカーが優位を保つだろう。

 一方、これから需要の拡大が見込めるのは、多品種少量生産や物流などである。これらの用途では、多様な作業を柔軟にこなすことが求められる。極端な話、作業ごとにロボットアームの動作が変わるという運用もあり得る。

 既存のロボットメーカーは、これら新用途も取り込むべくロボットアームの製品ラインアップを拡充している。とはいえ、ロボットアームへの要求が従来の用途と大きく異なるとなると、既存のロボットメーカーとしても試行錯誤の段階だ。その間隙を縫うように異業種からの参入が始まったのである。