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「教示レス」で差異化

 当然、新規参入メーカーが既存のロボットメーカーと同じような製品を出しても勝ち目は薄い。そこで新規参入メーカーは、従来のロボットアームにない特徴で差異化しようとしている。それは、動作プログラムを作成するための教示(ティーチング)」が不要なこと、いわゆる教示レスだ。

 例えば、オークマはARMROIDで次のような教示レスをうたう。専用のパレットに置かれた加工前のワークを運んで主軸チャックに取り付けたり、加工時にワークを支持したり、加工後のワークをパレットに戻したりできる。その動作プログラムは、対話式ソフトウエアを通じてワークの形状やパレットの種類など幾つかの項目を入力すれば自動で作成できるという。

 一般に、ロボットアームを動かすには、それぞれの関節をどう制御するかについて厳密に記述した動作プログラムが不可欠である。単に始点と終点だけ指定すれば動くというものではない。複数の関節を持つロボットアームでは、始点と終点を結ぶ経路が無数に存在するからだ。仮に経路が決まったとしても、そのような動作プログラムを作るのは骨が折れるし、そもそも誰にでも作れるものではない。

 そこで教示が必要となる。所望の動作を人が再現することで、ロボットアームに“教える”わけだ。具体的には、人が操作盤(ペンダント)を使うか、または直接力を加えてロボットを動かす。その過程で、動作プログラムが自動で生成される。

 裏を返せば、ロボットアームは教えた動作しかできない。ロボットアームの動作を変える際は、教示をやり直すことになる。それこそが、これまでロボットアームの用途が主に大量生産に限られていた理由である。実際の教示では、各関節の可動域を考慮したり、特異点と呼ばれる制御不能な姿勢を避けたりと、さまざまなノウハウが要求される。

 既存のロボットメーカーや現場での実装を担うインテグレーターは、教示の手間を軽減するような製品やサービスを提供してきた。それでも、教示が必要なことに変わりはない。ユーザーからすれば、教示を自分たちで手掛けるのは負担が大きいし、インテグレーターに委託しても相応の時間やコストがかかる。多品種少量生産や物流などの現場でロボットアームがなかなか普及しなかったのは、それが理由である。