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“図脳”を外部から調達

 これからロボットアーム参入するオークマが、いかにして教示レスを実現したのか。その秘密は、同社がロボットアームの“頭脳”として採用したコントローラーに隠されている。2011年創業のベンチャー企業MUJINが開発したものだ。

 MUJINのコントローラーは、ロボットアームの関節の駆動源であるモーターを直接制御するものではない。その主な役割はロボットアームの動作計画(任意の始点と終点に対して最適な経路をたどる動作プログラム)を作成し、モーターのコントローラーに引き渡すことである。関節の数や可動域といったロボットアームの構造に関する情報や、ロボットアームを設置する環境の3次元データなどを用意しておけば、最適な経路を自動で計算し、その動作プログラムを作成できる。

最適な経路を自動で計算
最適な経路を自動で計算
MUJINのコントローラー。顧客の要求に合わせて仕様を変えており、オークマに供給したものとは異なる。(出所:MUJIN)
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 ARMROIDにMUJINのコントローラーを採用した理由について、オークマの千田氏は「時間をかければ動作計画アルゴリズムを自社で開発できたかもしれないが、早く製品化することを優先した。その点、MUJINの技術は現時点での最適解だ」と説明する。

 これまで、MUJINのコントローラーは既存のロボットメーカーの製品を教示レス化する目的で使われることがほとんどだった。オークマのARMROIDのように、第三者への販売を前提とした独自ロボットの開発に使われたのは初めてである。

 一方、リコーはロボットアームの教示レス化について深層学習技術での実現を目指している。あらかじめ実際の動作プログラムを学習させたディープニューラルネット(DNN)に、画像データやセンサーデータなどを入力するだけで、最適な経路および動作プログラムを出力できるようにする。基本的な動作や通信に関する機能の実現には、オープンソースのロボット用ミドルウエアである「ROS(Robot Operating System)」を採用する。DNNのベースとなる深層学習フレームワークやROSは、誰でも利用できるものだ。

 オークマやリコーにとってモーター単体の制御はお手の物である。だが、複数のモーターを組み合わせたロボットアームの動作計画となると、一筋縄ではいかなかった。自社にない技術を外部から調達することで、両社は新世代のロボットメーカーになろうとしている。