全3429文字
PR

 日経クロステックの記者は編集者も兼ねていることが多い。自分で記事を書くのに加え、外部の寄稿者に原稿執筆を依頼することもある。

 技術系の編集者にとって重要なのは、執筆依頼先になる「技術に関する知識がしっかりしているエンジニア」、ざっくり表現すると「優秀なエンジニア」を見つけることだ。

 執筆依頼先のエンジニアは、分かりやすい文章を書けることも重要だが、必須ではない。文章は、文意が変わらない範囲でこちらが書き直せるからだ。

 一方、技術に関する知識に問題があるエンジニアは、たとえどんなに文章がうまくても執筆依頼先には適さない。間違った知識を分かりやすい文章で説明されるほど怖いことはない。間違った内容の記事を公開すると、執筆者だけでなく掲載したメディアも信頼を失う。

優秀なエンジニアはどこにいる?

 優秀なエンジニアを見つける方法はいくつかある。まず、取材先から探す方法だ。記者があるテーマで企業の広報部門に取材を依頼すると、たいていは広報部門の担当者が適切な人をアサインしてくれる。

 技術がテーマの取材だとエンジニアが取材相手になることも多い。こうしたエンジニアはその企業が「この分野に詳しい」と見なしているわけで、執筆依頼先としても有力な候補になる。

 執筆依頼先を見つけるもう1つの方法は、その分野で既に有名になっているエンジニアにコンタクトを取ることだ。書籍の執筆経験があったり、他社の雑誌に技術系の記事を連載したりしているエンジニアなどが対象になる。

 ただし、こうした手段で接触できるエンジニアには限界がある。実際には大企業にもベンチャー企業にも優秀なエンジニアはいるはずだが、そうしたエンジニアの多くは表に出てこない。

 そうしたエンジニアに何とか出会えないかと思い、私は一時期、ITエンジニアのコミュニティーに頻繁に顔を出していたことがある。プログラミング言語やフレームワーク、開発手法などのコミュニティーだ。

 積極的にコミュニティー活動しているエンジニアは、高い向上心を持っているのは間違いない。そうした場に参加しているエンジニアは優秀そうにも見える。実際に、コミュニティーで出会ったエンジニアを取材して記事にしたり、原稿執筆を依頼したりしたこともある。

 しかし、コミュニティーへの参加を通して、私自身は知らず知らずのうちにある偏見を持つようになった気がする。「コミュニティーに参加していないエンジニアには向上心がない」「コミュニティーに参加していないエンジニアは優秀ではない」といった偏見だ。

 もちろんこれは間違いである。コミュニティーに参加していなくても業務を通じて高い実力を身につけるエンジニアはいる。優秀なエンジニアの中には他人と群れることをよしとしない人もいる。そうした人にはコミュニティーでは出会えない。