今回から「プログラミングで行こう」という新コラムを執筆することになった。2週間に1回のペースで公開する。
コラム名から分かるように、主に取り上げるのはプログラミングの話題だ。ここ数年、個人の技能としてプログラミングが大きな注目を集めている。
2019年3月末には「ローマ法王フランシスコが、カトリック2000年の歴史上、初めてプログラムのコードを書いたローマ法王になった」と報道された。書いたコードは1行だけらしいが、これがニュースになること自体、プログラミングが注目されている何よりの証しだ。
プログラミングを学ぶことにも関心が集まっている。例えば、2020年から小学校教育でプログラミング教育が必修化することになった。「プログラミング的思考」を学ぶのだという。
また、日本商工会議所(日商)は2019年1月に「日商プログラミング検定」を始めた。IT人材の育成を応援することを目的としており、年齢や業種、職種を問わず幅広い人を受験対象としているという。
飲食業などIT以外の分野で働いていた若い人が、プログラミングを身に付けてソフトウエア開発者として転職したといった話もよく聞く。基本的には、プログラミングができるようになって損をすることはないと思う。
初学者に芽生える謎の自信
ただし、ソフトウエア開発経験がない中高年がプログラミングを学ぶことに関しては、必ずしもいいことばかりではないと思っている。
まず、「中途半端な知識を持った素人は、何も知らない人よりもタチが悪いことがある」という問題だ。人工知能(AI)の入門書を読んで感化された経営者が、全社員に対してAIを学ぶよう号令をかけるといった例を想像してもらうといいかもしれない。
プログラミングを少し学んだ中高年の中には、「具体的なテクニックでは若い人にかなわないが、プログラミングの本質は自分のほうが理解している」という謎の自信を持つ人がいる。
中には、本当に本質をつかんでいる人もいるのかもしれない。しかし、そうした人が本質だと思っていることは、実際にはその人の思い込みが多いと感じている。
そうした人は、「プログラミングは難しそうに見えるが、しょせんは○○にすぎない」といった言い方をよくする印象がある。○○に入るものは人によって違うが、その人が得意とすることや理解できることが入る場合が多い。