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 ルナ暴落の原因になったのが「テラUSD(UST)」というドル建てのステーブルコインだ。ステーブルコインは、法定通貨と価値が同じになるように設計された暗号資産。つまり1USTの価値は本来は1ドル前後であるのが正しい姿だ。

 一般にステーブルコインでは、発行額と同額の法定通貨(準備金)を保有することで価値の信用を担保する。ところがテラUSDでは、法定通貨の代わりに暗号資産のルナを準備金として用意していた。

 このようにルナとテラUSDが支え合った構造だと、ルナとテラUSDの両方が信頼されているうちは問題ない。ところが、何かのきっかけでどちらかの信頼が崩れるともう一方の信頼も失われ、一気に負の連鎖に入ってしまう。これにより、1USTの価値は1ドルを大きく割り込み、ルナの価格は暴落した。

 大量の暗号資産を取引するこうしたサービスの開発は、少なくとも知識の乏しい個人が手を出せるような世界ではない。

 一方で、特に日本ではWeb3のビジネス化に苦戦している例が多いと感じている。日本にはDeFiのサービスは基本的にないため、ほとんどがNFTだ。

 2021年に入ったころから日本でもNFTのプロジェクトが急増した。しかし残念ながら、「とりあえずNFTを始めてはみたが、誰からも相手にされない」というプロジェクトがそれなりにある気がする。

 スマートコントラクトには、従来のアプリよりもセキュリティーの懸念が大きいという問題もある。スマートコントラクトのコードは基本的にはブロックチェーンに書き込まれるため、後から変更することが困難だ。このため事前の脆弱性チェックがより重要になる。

 スマートコントラクトの脆弱性として有名なのが、「リエントラント(再入可能)」に関するものだ。あるコントラクトの処理が終了する前にそのコントラクトを呼び出せるようになっていると、意図しない動作が起こる。

 この脆弱性により2016年、当時の価格で約50億円分のイーサ(イーサリアムの暗号資産)が盗難に遭った。この盗難のトランザクションをブロックチェーンに残すかどうかでイーサリアムコミュニティー内で意見が分かれ、結果的にイーサリアムから「イーサリアムクラシック」が分裂することになった。

 このようにWeb3にはまだまだ問題が多い。では、スマートコントラクトの開発について学ぶ意義は何だろうか。

 個人的には、Web3時代の新しい組織形態である「DAO(Decentralized Autonomous Organization、自律分散組織)」がカギを握っていると思う。「Web3の本質はDAOだ」と語る識者も多い。

 DAOが本当に普及するかどうかはまだ何ともいえないが、もし普及すれば今の企業や社会の形を大きく変えるインパクトがある。そうした未来の社会に向けて今のうちからスマートコントラクトについて学ぶのは「あり」だと思っている。