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 Web3のサービスの1つであるDeFi(Decentralized Finance、分散型金融)で考えてみよう。代表的な暗号資産であるビットコインでは、投資の方法は基本的に「売るか買うか」しかない。これに対しDeFiは、暗号資産を貸し付けたり預けたりして利息を得るといった様々な金融サービスを提供した。これにより、それまで行き場がなかった暗号資産マネーが2020年から2021年にかけて一気にDeFiに流入した。

 その結果、DeFiの預かり資産の総額は2021年末には約1000億ドル(14兆円弱)まで膨れ上がった。ただし、2022年7月時点では約370億ドル(約5兆円)に縮小している。DeFiの沈静化に加え、暗号資産の価格自体も下落しているのが影響しているのだろう。

 「NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)」が注目を集めたのも、やはり高額落札がきっかけだった。英オークション大手のクリスティーズで2021年3月、「ビープル」として知られるマイク・ウィンケルマン氏のNFTによる作品「エブリーデイズ:最初の5000日間」が7000万ドル弱(75億円弱、当時)で落札された件だ。

 こうした高額落札の背景には、現代アートが持つ「投機市場」としての側面があるのは否定できないだろう。私は以前、「アートのお値段」というドキュメンタリー映画を見たことがある。有名な現代アート作家の工房で人海戦術により作品が量産され、それが高額で取引される構図を赤裸々に描いていた。芸術は本来は人類共通の価値であるはずだが、こうしたアート作品は「高価であることを示す記号」にすぎない。

 であれば、記号として機能しさえすればデジタルデータであってもかまわないはずだ。むしろ、現実の作品よりも受け渡しが簡単だという利点が際立つ。NFTが有力な投機対象の1つになったのには、こうした理由がある気がする。

 海外で生まれたこのようなトレンドをひっくるめて表現した用語が「Web3」だ。それに「乗り遅れるな」とばかりに国を挙げて取り組むのには違和感もある。踊らされているのではないか。

 ゲーム「Minecraft(マインクラフト)」の開発元で米Microsoft傘下のスウェーデンMojang Studiosは2022年7月20日、同ゲーム内でNFTを禁止する方針を打ち出した。NFTは、マインクラフトの精神に反する「希少性と排除のモデル」を生み出す可能性があるのだという。NFTの投機性を問題視する声は着実に広がっている。

 Web3時代の新しい組織形態である「DAO(Decentralized Autonomous Organization、自律分散組織)」にしても、どこまで有効に機能するかは未知数だ。現実には、従来の組織形態である株式会社がDAOの考え方を取り入れて進化する、というのが最もありえそうな未来だと思う。

 今後のWeb3がどうなっていくかは誰にもわからない。「成り行きが注目される」といったところだろうか。もっとも、このように結論を投げっぱなしにする記事は「成り注」と呼ばれて嫌われる。今後もWeb3にはがっつり関わって、その行く末を見届けたい。