自分はなぜプログラミングに興味を持っているのだろう。その答えらしきものに思い当たったので、このコラムでまとめておこうと思う。
私がプログラミングの学習に没頭していたのは十数年前のことだ。毎日のようにIT系の勉強会に参加し、実際に手を動かしてコンピューターサイエンスを学ぶ勉強会の世話役もしていた。単純計算で少なくとも数百時間はプログラミングの学習に費やしたことになる。今でもプログラムを書くことはそれほど嫌いではない。
勉強会の他の参加者から「職業プログラマーになる気はないのか」と聞かれたことも何回かある。だが、自分自身を振り返ってみて、職業プログラマーになりたいと思ったことは一度もない。
「記者がプログラミングを学ぶ」と聞くと、データの取得やその分析、記事の効果的な見せ方などにその能力を生かすと考えるのが普通だろう。日本経済新聞で記者として勤務した後、海外に留学してデータサイエンスを学び、現在はデータサイエンティストとして活躍している人もいる。
ただ、自分がプログラミングを学ぶ動機はそれとは異なると感じている。日常業務に生かしたいというよりは、取材対象であるITシステムをより深く知るために不可欠な知識と捉えている気がする。
ITシステムの実体はソフトウエアだ。そして、ソフトウエアはプログラムからできている。だから、ITシステムの「本当のところ」を知るには、プログラミングを避けて通ることはできないと考えているのだ。
自分がそんな考え方をするのは、記者になる頃に読んだ3冊の本の影響が大きいのではないかと思う。