日本人が英語を話せないことはよく問題になる。私もどちらかというと英語は苦手だ。「中学校や高校で何年も習うのになぜ話せるようにならないのか」という声も聞く。
もっとも、日本の英語教育自体には特に問題はないという意見もネットで見たことがある。学校の英語の授業だけでは学習時間が不足しているにすぎないというのだ。学校で英文法をきちんと学ぶ意義は大きいが、英語を使いこなせるようになるにはプラスアルファの学習が必要だという。私もそれが本当のところに近い気がしている。
逆にいえば、英語が全く理解できない日本人もあまりいない。義務教育の中学校に英語の授業があるためだ。たどたどしくてもよければ、英語で簡単な道案内くらいはできる人が多いだろう。いわば日本は「1億総カタコト英語社会」である。
これにより、海外から日本を訪れる観光客は、英語さえできれば極端に不自由な思いをすることはない。日本人が海外に行ったときも、少しでも英語ができるのと全くできないのとでは安心感が違う。
私は昔、スペイン出張に行ったとき、日本からインターネットで予約できたと思っていたホテルの予約が取れていなかったことがある。私はスペイン語はほとんどわからず、スペイン語しか話せない人とのコミュニケーションは身ぶり手ぶりしかない。言葉が通じない国に宿なしで放り出されたのはかなりの恐怖だった。
幸いなことに英語を理解する人とコミュニケーションが取れ、何とか宿を確保できた。世界中の多くの地域で共通言語として使える英語のありがたさが身にしみた。
昔は英語ができる日本人はごく一部だったはずだが、現在ではほとんどの日本人がカタコトなら英語を使える。ほかにも同じような状況になると考えられる技能がある。「プログラミング」だ。
現在はプログラミングをしたことがある人はあまり多くないだろう。正確な割合はわからないが、多く見積もっても日本人の1~2割程度ではないだろうか。
今後はこの割合は増えていくと考えられる。2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されたからだ。コーディングそのものを学ぶわけではないようだが、小学生のうちにプログラミングという概念に触れる意味は大きい。やる気スイッチグループは2022年9月、同グループの教室に通う小学生の6割にプログラミングの経験があるとする調査結果を公表している。