このコラムは隔週で公開しているが、年末年始の休みが入るため今回が2022年最後のコラムになる。そこで、「記事を書く」という仕事の将来性について考えてみたいと思う。
AI(人工知能)がチャットで様々な質問に答えてくれる「ChatGPT」というサービスが少し前から大きな注目を集めている。非営利のAI研究団体である米OpenAI(オープンAI)が開発したものだ。2022年12月中旬現在、ベータ版サービスという位置づけで、登録すれば誰でも試せる。
ChatGPTでは日本語も使える。例えば「日本の人口を教えてください」と質問すると、現在の日本の人口を教えてくれる。こうしたわかりやすい質問だと、内容にあまり破綻は見られない。特に「人生の意味を教えてください」といった決まった正解がない質問だと、かなりそれっぽい回答を返してくれる。
インターネットには、ChatGPTを使ってどんなことができるかを調べている人がたくさんいる。そうした試みを「プロンプトエンジニアリング」と呼ぶ。
ChatGPTに与える質問を工夫すると、様々なことが行える。例えば、文章の要約、箇条書きからの文章の作成、「だ・である」調から「です・ます」調への変換など。Wikipedia風の記事を出力するといったこともできるようだ。
プログラミングに関連した作業も行える。文章で指定した処理を行うプログラムの生成はもちろん、プログラムからドキュメントやユニットテストを生成することもできる。アルゴリズムの名前を挙げれば、そのアルゴリズムに沿ったプログラムを書いてくれる。プログラムのリファクタリングも可能だ。
ただし、ChatGPTが出力する回答がいつも正しいとは限らない。大学についての質問を試していたとき、ChatGPTは国立大学の1つとして早稲田大学の名前を挙げていた。同大学はもちろん私立大学だ。回答にはこうした間違いが混入する可能性があることは注意しなければならない。
考えてみれば、ソフトウエアがこうした「自発的な勘違い」をすること自体が驚きだ。従来のソフトウエアは、人間のプログラマーが間違えたとおりにしか間違うことはできなかった。知識や思考が足りない人間のように自然に勘違いをする機械というのは、少し不気味に感じる。