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 楽天モバイルは2021年1月29日、既存の携帯大手3社に対抗した新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI(アンリミットシックス)」を発表した。同社の置かれた状況を踏まえると実に見事な一手だと感心したが、またしても格安スマホ事業者が大きな打撃を受けそうな内容となっている。

解約ラッシュは回避が濃厚

 Rakuten UN-LIMIT VIでは1回線目を対象に月間データ通信量が1ギガバイト以下の場合は無料とした。商用サービス開始時の「300万人を対象に1年間無料」にも驚かされたが、今回は一時的なキャンペーンではなく正規の料金である。仮にデータ通信を全く使わなくても音声通話をはじめ、回線管理費用や電波利用料などのコストが生じるため、契約数の増加で赤字が増える「逆ざや」となりかねない。同社の三木谷浩史会長兼CEO(最高経営責任者)は1月29日開催の発表会で「心意気」と説明したが、ずいぶん思い切った施策を打ち出してきた。

新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」の概要
新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」の概要
(出所:楽天モバイル)
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 楽天モバイルの累計申込数は既に220万件を突破した。ただ2回線目(サブ回線)として使っている人は多いとみられ、1年間無料が終了した時点で解約が相次ぐとの観測が出ていた。今回の施策により、こうした事態は防げる可能性が高くなった。

 というのも、解約には少なからず手間がかかる。月間データ通信量が1ギガバイト以下で無料ならば、引き続きサブ回線として音声通話を中心に使う、もしくは全く使わずそのまま寝かせておこうと考える人が多いと想定されるからだ。同社の契約者は「楽天市場」における商品購入時のポイント付与が「+1倍」となる。維持費が0円なら、これを目当てに加入する「ポイ活賢者」(ポイントを積極的にためて活用している人)も増えそうだ。

 筆者が最も心配していたのは解約ラッシュによるモメンタム(勢い)の失速だ。解約が相次いで契約数が大幅に減れば消費者の評判に悪影響を及ぼすだけでなく、同社社員の士気低下につながりかねない。待っているのは負の循環である。

 新料金では解約を防ぐだけでなく「段階定額制」をうまく取り入れ、容量単価で大手3社より安くした。上限を2980円に維持したのも賢明な判断だった。同社はただでさえ基地局の設備投資やローミング(相互乗り入れ)費用で持ち出しが多い。上限を引き下げれば将来の成長余地まで大幅に狭めることになり、本当に苦しくなってしまう。まさに存続をかけた決断だったのではないだろうか。