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 格安スマホを手掛けるMVNO(仮想移動体通信事業者)がデータ通信サービスの提供に当たって携帯大手に支払うデータ接続料の低廉化が進んでいる。NTTドコモが近く公表する2022年度適用のデータ接続料は前年度に比べて28%減となるもようだ。

 データ接続料については、MVNOの事業予見性を高める目的などで将来3年度分の接続料を毎年度算定する「将来原価方式」を2020年度から取り入れている。ドコモの2021年2月届け出のデータ接続料は2021年度が28万3859円、2022年度が22万1901円、2023年度が18万146円(レイヤー2接続、毎秒10メガビット当たりの月額)だった。

 これに対して同社の2022年2月届け出のデータ接続料は2022年度が20万3270円、2023年度が15万6976円、24年度が13万2076円だったもようである。2022年度は2021年2月届け出の予測値と比べても下げ幅が拡大した。 大方の予想以上に安くなったが、MVNOにとっては及第点に近く、「もう一声」を望む関係者が多い。

NTTドコモのデータ接続料(レイヤー2接続、毎秒10メガビット当たりの月額)
NTTドコモのデータ接続料(レイヤー2接続、毎秒10メガビット当たりの月額)
(作成:日経クロステック)
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5Gやahamoの効果は?

 データ接続料はMVNOの「仕入れ値」に相当する。サービスの設計次第ではあるが、通信速度や品質に力を入れる事業者では接続料負担が収入の7割程度を占めるケースもあるといわれる。経営を大きく左右するだけに毎年この時期に公表される接続料がMVNOの大きな注目となっている。

 2021年には携帯大手3社が自社サービスで新料金や値下げを打ち出したことで、データ接続料を巡って紛糾した。業界団体のテレコムサービス協会MVNO委員会が「現行の接続料水準では対抗は極めて困難」として、1月に総務省へ緊急措置を要望。総務省は2月、より一層精緻な予測に基づいたデータ接続料の算定を携帯大手3社に要請した経緯がある。それだけに2022年度は「さらなる低廉化は期待薄」との観測が出ていた。