NTTドコモの店舗「ドコモショップ」を運営する販売代理店が苦境に立たされている。ドコモは携帯大手の中でも販売手数料や各種支援費が手厚いことで知られるが、2021年度から引き締めを強化。2022年度にはドコモショップを100カ所程度減らす方針も明らかになった。ただでさえ実入りが減って厳しい状況にもかかわらず、出張販売などによる顧客獲得も強く求められ、販売代理店からは悲鳴と不満の声が出ている。
店舗の家賃支援費も圧縮へ
ドコモショップの苦境ぶりは大手販売代理店の決算にも色濃く出ている。例えば全店舗の8割強をドコモショップが占める業界2位のコネクシオ。同社が2022年1月に発表した2021年4~12月期営業利益は前年同期比33.2%減だった。このうち、2021年10~12月期営業利益の増減要因を見ると、「指標未達による手数料減少」「支援金体系変更」の2つが大きく足を引っ張っていることがよく分かる。人件費の業績連動賞与を減らしても同41.5%減の大幅な落ち込みである。
販売代理店によると、程度の差こそあれ、ドコモショップの運営会社は多かれ少なかれコネクシオと似たような状況だという。コネクシオは手数料減少について「指標未達」と説明しているが、「2021年度から達成が困難な指標に変わったので未達は当たり前。これまでと同じように販売していても評価が下がる。店舗の評価はABCDEFGの7段階。2021年度に入ってからC以上の店舗がどんどん減っている」(ある販売代理店)。手数料は評価に応じて変動するため、大きな打撃を受けている。経営が苦しい販売代理店では、端末販売の際の頭金を増額する動きもある。
ドコモは各種支援費の削減も進めている。2021年度からは新たな「運営支援費」を導入し、従来あった「スタッフ支援費」と「スタッフ雇用・育成強化支援費」を廃止した。具体的な削減額は定かでないが、コネクシオの「支援金体系変更」はこれを指しているもようである。ドコモは2022年度から「家賃支援費」の圧縮にも着手し、2022年度に5%、2023年度に5%の計10%をカットする計画だ。