新型コロナウイルスの感染拡大を受け、在宅勤務が本格化しつつある。2020年4月7日に東京や大阪など7都府県に緊急事態宣言が発令され、4月11日には安倍晋三首相が7都府県の全ての事業者に出勤者の最低7割削減を求めた。そこで心配されるのが、テレワークによるトラフィックの急増だ。
外出禁止令が広がる米国でもトラフィックが急増している。米ベライゾン(Verizon)の4月9日の発表によると、新型コロナウイルスの拡大前に比べ、トラフィックはゲームが115%増、VPNが49%増、ビデオが36%増を記録した。米AT&Tもコアネットワークのトラフィックが4月8日時点で2月末に比べて26%増加したという。
平日日中で30~40%増
日本はどうか。NTTコミュニケーションズのインターネット接続サービス「OCN」では、平日日中(午前9時~午後6時)のトラフィックが40%程度増加した。2月3~7日を基準とすると、2月17~21日の週まではほぼ変わらず、2月24~28日の週に数%増加。安倍首相が小中高校に休校を要請した翌週(3月2~6日)から30~35%増となり、直近は35~40%増の水準で推移している。
期間(平日日中) | トラフィック増加率 |
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2月24~28日 | 数%増 |
3月2~6日 | 30~35%増 |
3月9~13日 | 35~40%増 |
3月16~20日 | 約40%増 |
3月23~27日 | 約40%増 |
3月30日~4月3日 | 35~40%増 |
4月6~10日 | 35~40%増 |
平日日中のトラフィックが増えたとはいえ、ピーク時(午後10~11時)に比べれば3分の2程度(約67%)の水準にすぎない。ピーク時のトラフィックも約10%増えているが、同社は「ピーク時の2倍に耐えられる設計でバックボーンを構築しており、直ちに問題となる状況ではない」としている。
NTT東日本の「NGN」におけるトラフィックは平日日中(午前9時~午後5時)で30%程度増加した。4月6~10日のトラフィックは2月25~28日の週に比べ、昼間で33%増、夜間のピーク時(午後9~10時)で2%増だった。「ネットワーク全体の容量は十分に確保しており、問題ない」としている。
このほか、KDDIの固定通信サービスでも「平日昼間の時間帯で最大40%ほどのトラフィック増加が見られる。夜間のピーク時への影響は限定的であり、あまり変わっていない」という。各社の回答を総合すると、現状は平日日中における30~40%のトラフィック増加にとどまり、全く問題ないとのことだ。