総務省は携帯ショップに対する覆面調査の結果を2022年4月25日に開催した有識者会議で公表した。電気通信事業法で定める上限(税別2万円)を超えた利益提供(割引)など違反または違反が疑われる事案が多数見つかった。
同様の調査は2021年も実施しており、前回は非回線契約者への端末販売拒否(端末購入サポートプログラムの提供拒否を含む)が大量に発覚した。これに端を発して、携帯大手がショップを運営する販売代理店の評価制度や端末販売価格の設定方法などの見直しに動いたことは記憶に新しい。総務省だけでなく公正取引委員会からもこれらの点検と改善を求められ、携帯大手3社は2021年10月にその結果を報告、公表したばかりである。
今回は全体で531件の調査件数のうち、違反または違反が疑われる事案は52件。比率は9.8%に下がったとはいえ、まだまだ多い。総務省は違反を撲滅したい考えだが、今度はどのような策を打ち出してくるだろうか。
足元では転売ヤー問題も
違反または違反が疑われる事案のうち、2万円の上限を超えた利益提供は論外として、非回線契約者への端末販売拒否はショップの置かれた状況を考えると、いまだに横行するのも分かる面がある。
非回線契約者への端末単体販売はショップにとってほとんどメリットがない。端末単体販売に奨励金を設けている携帯大手もあるが、すずめの涙ほどしかない。さらに2021年秋以降はiPhoneの在庫不足もあった。利益率の高いMNP(モバイル番号ポータビリティー)転入や新規契約、既存の回線契約者への販売(機種変更)を優先しようとの判断が働いても不思議ではない。特にドコモ系の販売代理店は2021年度から評価指標が厳しくなり、手数料減少の苦境にあえいでいる。